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第19話

そのままチロは父をどう言いくるめたか知らないけど風呂にまでついてきた。 「雅美くん、見て!繋の背中、キレイでしょ?」 「……はぁ……」 「チロ、見せもんじゃないから!!」 家の敷地内にある露天風呂に3人で来て頭を洗っているとチロが俺の背中の事を言ってくる。 あの日……チロと繋がったあの日から、俺の背中には赤い炎みたいな形が浮かんでいた。 チロの話によると、俺も火を操れるようになってるらしいけど、怖くて試してはいなかった。 「繋、自分で見られないのかわいそう」 「別にいいってば。写メで見たし」 見た……というよりはチロが勝手に俺のスマホで撮影してきた感じだけど。 「雅美くん、繋の身体見てドキドキしちゃったね?ふふっ、可愛いなぁ……」 「ち、違います……!!」 違うってすぐ否定されてちょっとガッカリしたけど、動揺している松若くんが可愛かったからいいか、ってひっそり思う俺。 「キミは日々運動してるからだね、繋よりもオトコって身体してる……」 「お、おい、やめろよ!何勝手に触って……」 「いいでしょ、減るもんじゃないし。あ〜、繋、ボクが先に触って悔しいんだ」 松若くんを真ん中にお風呂に入ると、チロが松若くんの身体をベタベタ触ってくる。 筋肉質だけど白いその肌が綺麗で、見蕩れてしまっていた時だった。 「く、悔しくなんかないし」 「へ〜、そうなんだぁ、ふーん……」 チロは俺に、 『ぜ〜んぶ分かってるからね』 っていう目を向けてくる。 あぁ、もうそっとしておいて欲しい。 松若くんだってきっとそう思ってるはずだ。

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