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第20話
チロから解放されたのは、風呂上がりにかき氷を食べた後の事だった。
「雪女が作ってくれたかき氷だからめちゃくちゃ美味しいでしょ?雅美くん」
「は……はぁ……」
俺の浴衣を着た松若くんは、どこか色っぽかった。
母の作るかき氷。
シロップは市販のいちごだったけど、その氷はどこよりも美味しいと俺も思う。
「じゃあ、ごゆっくり〜!!また明日お邪魔するね〜!!」
空になった食器を持ち、チロは俺の方を見てニヤニヤしながらいなくなった。
「はぁ……ようやく静かになった……」
洗面所まで歯磨きに行ったあと、俺は敷いた布団に横になる。
少し間隔を空けて並べた布団。
松若くんは俺が横になったのを見ると、空いた布団に横になった。
「……仲、いいんですね、妖怪と」
「あいつは特別。幼馴染なんだ」
「そうなんすね」
「ごめんね、色々されて困ったよね?」
「……正直、ちょっと。でも、あの妖怪とやっていけなかったらオレ……嫁として失格だと思うんで」
俺の方は見てなかったけど、松若くんはそう言って目を閉じた。
「おやすみなさい」
「お、おやすみ……」
何だろう。
松若くん、チロにライバル意識あるのかな。
今の言い方、そんな風に聞こえたんだけど。
「…………」
目を閉じるとそんなに眠くなかったはずなのに、いつの間にか眠ってしまっていた。
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