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第21話

朝。 俺は松若くんに起こされていた。 「すんません、朝は毎日ランニングしてるからしないと気持ち悪くて」 「いいよ、そういうのは遠慮なく言って」 「あっす」 俺の着替えを貸して、一緒に近所を走る。 少し肌寒いくらいの気温。 走っていくうちに、風が心地良く感じた。 「先輩、結構走れるんすね」 「あぁ、たまに兄ぃと走ってたんだ」 兄ぃ、今の俺を見たら何て言ってくれるだろう。 『へー!!気になってた子が嫁いできたなんて!良かったじゃないか、繋』 って、あの笑顔で言ってくれたかな。 「…………」 いつの間にか、涙が出てしまっていた。 「大丈夫すか」 「ごめん、大丈夫だから」 立ち止まって涙を拭うと、松若くんも止まってくれる。 「……お兄さんの事、聞いてます。それでオレとの結婚、早くなった事も」 「…………!!」 いきなり抱きつかれて、俺は驚きで固まっていた。 「悲しむ余裕もなかったんすよね、先輩」 「……う、うん……」 その言葉が優しくて、俺はそのまま松若くんにしがみつき、泣いてしまっていた。 そんな俺を、松若くんは黙って受け止めてくれた。

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