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第27話

「ごめん、ごめんね、嫌だったよね、ホントごめん……」 幸いな事に、松若くんが出したもので衣服が汚れたりはしてなかった。 「……何でそんなに謝るんすか……」 「何でって……いきなりこんな事されたら誰だって……」 「……確かにちょっとびっくりしたけど、ふ、夫婦だから別に問題ねーっす」 「……え……?」 落胆している俺に、松若くんはそんな事を言ってくれる。 「だ、大体、これよりもっとすげーコト、絶対するじゃないすか……」 「…………」 な、何なんだ、一体。 俺の事、何でこんなに煽ってくるんだろう。 キツい目しながら顔を赤くして話すその姿がもうめちゃくちゃ可愛くて、これって俺にしか見せてないんだよなって思うと胸がキュンとしてしまう。 ……俺の方が松若くんにどうしようもなく惹かれてるよ。 「ま、松若くん、あのさ……」 「お、オレ、経験ないけど、先輩がどうしようもなくなったら、ちゃんと受け止めますから」 ど、どうしよう。 俺があんな事したから、松若くん、俺に合わせようとして無理して言ってるとしか思えないんだけど。 「ま、待って、俺の話、ちゃんと聞いてくれる?」 「何すか」 よし。 ちょっと冷静に考えてくれそうな気がする。 「け、結婚式の日にさ、少しずつ、少しずつお互いの事分かっていけばいいんじゃないかっていう話をしたのは覚えてる?」 「はい」 「俺、今はちょっと暴走しちゃったけど、そういう事も……少しずつ進んでいけばいいんじゃないかなって思って。俺たちまだ学生だし、松若くんは大事な大会とかあるだろうし……」 「それは……そうっすけど……」 頬を赤く染めながら、松若くんは何かを言い淀んでいる。 「お、オレ、さっき先輩が……してくれて、自分でするより……き、気持ち良かったから……またして欲しいんすけど……」 「……!!」 しばらくしてから話してくれた松若くんの言葉に、俺は耳を疑った。 ……どうしよう。 俺の、俺のせいだ。 俺があんな事しなかったら松若くんはこんな事思わなかった訳で。 「駄目……すか?」 あぁ、もう。 そんな目で、上目遣いで今にも泣きそうな顔で言うなんて、断れないよ。 「……大好きな人に求められて断る人なんかいないと思う」 そう言って、俺は愛おしくてたまらない松若くんの唇にキスしてしまっていた。 「じゃあ、その時はちゃんと教えて欲しい。そしたら俺……いつでもしてあげるから……」 抱き締めながら耳元で言うと、松若くんは頷いてくれた。

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