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第30話

放課後。 俺はお互い午後から部活があるという事で、松若くんとお弁当を食べる約束をしていた。 「すんません、待たせちゃいましたよね?」 図書館の横にある自習室。 限られた数しかないけど個室もあって、そこを確保出来た俺は松若くんにそこに来るよう伝えていた。 チロは学校の食堂を使ってみたいというのでいなかったから、ふたりきりでの昼食になった。 「ううん、全然。楽しみにしてたよ、松若くん」 「……あんま期待しないで下さい」 犬のイラストがついた少し大きめの保冷バッグを持ってきたその姿が既に可愛らしい。 「わぁ、すごいね、こんなにたくさん……」 バッグの中からはサラダ、鳥の照り焼き、卵焼き、きんぴらごぼうがそれぞれ小分けになって容器に入っていて、おにぎりは炊き込みご飯のおにぎりだった。 デザートには切り揃えられたパイナップルとキウイまで用意してくれていて、一生懸命作ってくれた事が一目瞭然だった。 「「いただきます」」 嬉しくてスマホで写真を撮った後、早速食べさせてもらう。 「あぁ、めちゃくちゃ美味しい!この卵焼き、すごく美味しいね」 「ありがとうございます」 どれも美味しくて、ついついたくさん食べてしまっていた。 「こんなに美味しいお弁当をこれから毎日食べられるなんて俺、幸せだよ」 「……良かったです、そう言ってもらえて」 松若くんは俺の言葉に嬉しそうにしてくれる。 「何かお礼しなきゃいけないね。どうしようかな」 ふたりで完食した後で俺が言うと、松若くんはしばらくしてから口を開いた。

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