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第44話

週末。 俺たちの引越はそんなに荷物がなかった事もあって思ったよりも早く終わっていた。 夜は松若くんが俺だけでなく、手伝ってくれた俺の両親とチロへのお礼という事で食事を作ってくれて、みんなが松若くんの手料理に感動していた。 夕飯を終え、両親が家に帰り、チロがふたりきりにさせてあげるねと言って外出すると、俺たちはキッチンに並んで立って食器の後始末を始めた。 こんな事が毎日出来るなんて。 俺はすごく幸せな気持ちになった。 「お、オレ、風呂の準備してきます……」 「あ、うん……」 食器を洗い終えて片付けると、松若くんはそわそわした様子で浴室の方に向かって歩いていく。 俺もだけど、松若くんも絶対にこの後の事、意識してる。 結婚して2ヶ月ちょっと。 もうなのか、ようやくなのか。 俺たちは……ひとつになる……はずだ。 お、俺次第だよな。 「先輩」 「うわっ!?」 そんな事を居間のソファに座って悶々と考えてると、いつの間にか松若くんが目の前に立っていた。 「今、すげー変な顔してましたけど、何考えてたんすか」 「え、えーと……」 「……どうせまた、くだらねー事考えてたんでしょ、先輩」 返答に困っていると、松若くんは俺に抱きついてくる。 「大丈夫ですよ。先輩、もし失敗してもオレ、嫌いになるとか絶対にないんで」 「…………」 触れた頬が熱い。 松若くん、俺が考えてる事、分かったみたいだ。 「そ、それにオレ……高校入ってからだけど……慣らしてるんで何とかなると思います……」 「えっ」 な、慣らしてる!? 松若くんがぼそっと言ったその言葉に、俺は理性が吹っ飛びそうになる。 「そ、それって……」 「い…いつ嫁に行っても恥ずかしくないようにっていとこの姉ちゃんに言われて、それで本とかDVDとか渡されて……必要な事なんだって思ってそれ見て練習してました……」 俺に抱きつきながら話す松若くんの声は、徐々に小さくなっていった。 「…………」 あぁ、確認した俺が馬鹿だった。 何やってんだ、俺。 頭の中にDVDや本を見ながら一生懸命練習してる松若くんを想像してしまって、繋ぎ止めてた理性が完全に切れてしまった。 「……やって見せてよ、俺の目の前で」 「え……そんな……」 そう言って履いているハーフパンツ越しにその割れ目を撫でると、松若くんは身体を震わせた。 「ダメ?俺、松若くんが俺の為に慣らしてくれてる姿、見たいんだけど」 「 ……っ……!!」 その綺麗な目を見てお願いすると、松若くんは一層顔を赤くする。 「に、荷物取ってくるんで待ってて下さい」 そう話すと、松若くんは走って居間を出ていった。

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