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第46話

自分と松若くんの汚れた部分をティッシュで拭いながらひとりで凹んでいると、松若くんが俺の頬を両手で叩いてくる。 「何すか、その顔」 「ご、ごめん……」 「どーせまた、オレの事で余計なコト考えたんでしょ?いい加減にして下さい」 まだ乱れた呼吸のまま、松若くんは俺にキスしてきてくれた。 「オレは先輩とするって決めた時、もしかしたら子供が出来るかもしれないって、その時は先輩と育てていきたいって覚悟決めたんです。だから先輩がんな顔する必要なんて全然ないっす」 「松若くん……」 「その呼び方も変えて欲しいっす。オレ、もう松若じゃねーし」 「あ、うん、そうだよね……」 父から、松若くんは来週から父の養子としてうちの戸籍に入る事を夕食時に聞かされていた。 「雅美くん」 「『くん』もいらねーっす」 「そんな…いきなり呼び捨てなんて難しいよ」 抱き合ってその温もりを感じながら言葉を交わす。 「お、オレも先輩じゃなくて名前で呼びますから」 頬を少し赤らめながらそう話す松若……雅美くんは俺にどうにかして名前を呼んでもらいたいと言っているような気がして、すごく可愛かった。 「俺は別に先輩でもいいよ。Hな事してる時、そう呼ばれるとすごく興奮するし」 「ん……ッ……!!」 思わずキスしながらその身体をきつく抱き締めてしまう。 「お風呂入ったら部屋でもう一度してもいい?」 「は……っ、はい……」 次は。 次は必ずコンドームを使おう。 俺の目をまっすぐに見て応えてくれた雅美くんを見つめながら、俺はそんな事を思っていた。

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