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第50話

「妖怪、先輩とセックスしたから見えるようになったんすよね」 その日の夜。 寝る支度をしてふたりで寝ても少しだけ余裕のあるベッドに並んで横になると、雅美くんが言い出した。 「そうなのかな」 「それしか考えられないんすけど」 「うーん……」 確かにそんな気はする。 「繋先輩」 「ん?」 「オレ、今日すげー嬉しかったっす。先輩にとって大切な人……妖怪の皆さんを見られて、話が出来て。オレも先輩みたいに仲良く出来たらいいなって思いました」 「雅美くん……」 「オレ、明日朝練あるんで先に学校行きますね。おやすみなさい」 「お、おやすみ……」 不意にキスされて、俺はしばらく寝られなかった。 翌朝、雅美くんは朝食と昼食を用意してくれた後慌ただしく先に学校に向かい、俺はチロと朝食を食べてから登校していた。 「久しぶりだね、繋とふたりきりなんて」 「あ、あぁ……」 バスの中、2人がけの席に並んで座る。 ……気のせいだろうか、チロから知ってる匂いと違う匂いがするような気がするのは。 「?どうしたの?繋」 「い、いや、別に……」 「繋、ボクの事心配してくれてるんだね。大丈夫だよ、ボクは危ないコトなんてしてないから」 「…………」 チロはそう話して俺の頭を撫でてきたけど、その笑顔は少しあの時……最初で最後のセックスをした時に見せたものによく似ていた。 学校は生徒会も部活も先輩方は在籍してるけどメインは俺たちの学年になり、輝政はどちらでも兄ぃに代わってみんなを引っ張っていた。 俺に対しては表向きは普通に接してくれたけど、ふたりになったらほとんど会話する事もなくて。 俺はチロが言ってた、悪い妖怪が輝政に近づかないかどうか気になっていた。 そんな中、俺たちは学校祭に向けて動き出していた。 うちの学校の学校祭はクラスと部活、どちらかに参加して模擬店をしたり部での活動を展示もしくは体験できるような場所を作ったりする感じで、俺は生徒会役員の仕事をする事になり、全体のサポート役として動く事になっていた。 雅美くんの方はバスケ部として喫茶店をやるって聞いていたけど、そのお店は男子部員が女装、女子部員が男装をするという事で、雅美くんは当日メイド服を着る……という話だった。

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