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第52話

バスケ部の喫茶店は、それなりに人が入っていた。 「ん〜!!チョコレートパフェ、甘くてすっごくおいし〜!!」 チロと先生とで席に座り、チロは食べたがっていたチョコレートパフェを食べ、先生は紅茶、俺はオレンジジュースを頼んでいた。 雅美くんの姿は休憩中なのか見当たらなくて残念だな……って思っていたら、入口からその雅美くんが入ってきた。 「!!!!」 黒髪のストレートロングヘアのかつらを被り、女の子みたいにメイクをした雅美くん。 膝上丈のメイド服を着て黒いストッキングを履いているその姿は、いつもとは違う可愛さで満ち溢れていた。 「あ、雅美くーん!!」 それを見て、無邪気に手を振るチロ。 「な、何で来たんすか。来るなって言ったのに」 「だって〜チョコレートパフェ食べたかったんだもん」 「チロ先輩に言ったんじゃねーっす」 顔を真っ赤にして、その短めのスカートの裾を下に引っ張りながら話す雅美くん。 明らかに動揺しているその姿は、俺から理性を奪い去ろうとしていた。 「何してるの?そんな事して」 俺、思わず近づいて耳元で囁いてしまう。 「せ……っ、先輩、距離近いっす」 「……ごめんね、ちょっとふたりで話したいなぁって思っちゃってさ……」 「…………」 俺が肩を叩くと、雅美くんはビクッと身体を震わせた。 「も、もう少しで休憩なんで、ここで待っててもらっていいすか?」 「ん、分かったよ」 平静を装う俺。 「繋、ボク、他のところも行きたいからもう行くね!行こ、先生!!」 そんな俺を見たチロはニヤリと笑い、先生を連れて先に教室を出ていた。 「キャー!!道籠先輩!!」 「一緒に写真撮ってもいいですか?」 「えっ、あっ、うん、いいけど……」 チロたちがいなくなって、俺の周りには女の子たちが次々とやって来る。 俺は雅美くんが働いているところが見たいのに、女の子たちに話しかけられ、写真を一緒に撮らされて全然見られなかった。 「け、繋先輩」 ようやく女の子たちがいなくなったタイミングで雅美くんが来てくれた。 「お疲れ様、雅美くん」 「……あっす……」 「おにぎり作ってきたんだ。生徒会室にあるから一緒に食べない?」 「うす」 朝食と昼食をいつも作ってくれている雅美くんだけど、今日は準備があるから両方作る時間がなくて朝食を作ってすぐに家を出ていた。 たまには……って思って、俺はふたり分のおにぎりを作っていた。 会えなかったらチロにでもあげようと思っていたけど、そのチロのお陰でこうして会う事が出来て良かった。

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