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第4話
……そうだった。今は、土砂降りだ。ちょっと雨宿りするくらい、問題無いかもしれない。そんなちょっとだけの時間で、本当は怖くないって確かめれば良いじゃないか。それでもやっぱり怖かったら、お経を読んだら良いのだ。それに俺、そもそもマッサージに行きたいって思ってたんだった。こんな時間に、道中に開いているマッサージ店があるなんて、ラッキーじゃないか。うん。幸運だよ、俺。
何故なのか、一気に気分が変わった。気分というより、思考だ。思考は、確かにそう変わった。だが、本能的に、やっぱり俺は怖がっているらしい。だって怖いもん。
それでも理由不明のまま、俺は傘を閉じて、店のドアノブに手をかけた。
「いらっしゃいませ」
人の良さそうな顔の店員さん二名が、俺を見た。俺は、体の震えを押し殺しながら、聞いた。
「まだ、開いているか?」
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