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第9話
全て入りきった時、俺は肩で何度も熱い吐息をした。
寝台に膝を立てた状態の、正常位。僅かに腰を浮かせ、ローラに俺は体を持たれている。思わず俺は、シーツを握った。怖い。これは、未知の行為という意味もあるし、男に穿たれて喜んでいる俺の体が怖いというのもあるが――何よりも、これからもたらされるのだろう、快楽が怖かった。何せ、挿入されただけで……気づいたら、俺は、果てていたのだ。見れば、ローラの腹部を、俺が出したものが汚していた。
「動くぞ」
「あ、あ、うあ」
「ほら」
「ああ!!!」
ローラが腰を揺さぶった。それだけで、俺の満たされた内部の全てが、快楽を訴えた。一つに繋がった箇所から、全身にくまなく気持ち良さが広がっていく。温水のような心地の良い快楽から始まり、それはすぐに熱に変わる。ただ単に入れている楔を揺らされただけで、俺は灼かれた。この状態で、前立腺を突き上げられたら、俺は、どうなってしまうのだろう。漠然とそう考えた時、ゆっくりとローラが前後に動き始めた。
「あ、あ、あ」
引き抜かれる時、俺はそれに合わせて声を出してしまった。
「ン――!!」
そして再び入ってくる時は、嬌声を堪える事に、必死になった。
「ああ、ァ、ぁ」
「どうだ? 初めては?」
「あ、あ……だめだ、熔ける、熔けちゃう」
「――噛むぞ」
「!!!」
不意にローラが、俺の太ももをひと舐めしてから、甘く噛んだ。
「あああっ!」
その瞬間、俺はまた果てた。二度もあっさりと射精したのなど、初めてだ。覚えさせられた空イキだけならば、何度かさせられた事がある。だが、実際に吐精を連続でしたのは、これが初めてだった。だが、俺はもう知っている。ローラに噛まれると、死ぬほど気持ちが良いのだという事を。
「うああっ、ン――!!」
それからローラが抽挿を再開した。ギリギリまで引き抜いては、奥深くまで貫く。それを繰り返してから、時に中に根元まで入れて、俺に形を覚えこませるかのように動きを止める。そうされた時、俺の中は、ビクビクと動く。すると俺には、ローラの形がはっきりと分かる。
「ぁ、ぁ、ァん、ぁン、ンん……っ、ぁ……」
彼の先端が、グッと俺の前立腺を押し上げた。ガクガクと震えながら、俺はきつく目を閉じる。気持ち良い。結果、また俺は射精した。おかしい。いつもは出したくても出せないのに、今日はいやでも出る。
熱く太く長く硬いもののせいなのだろうか……?
分からない。ただローラの肉棒が、俺にとって、彼の指よりも愛おしい存在に変わったのは確かだ。
「ひ、っ、ひぁ、あ、あ、んっ」
「どうだ?」
「あ、あ、やぁ……ヤぁ……ァ」
「何が嫌なんだ?」
「……っ、と。あ……っと、もっと!」
俺はついに懇願した。もう焦がれた体が我慢ならない。激しくグチャグチャに突かれたかった。そう願っていると、動きを止めていたローラがニヤっと笑い――「!!」
俺は目を見開き、絶叫した。
ガンガンと、それまでとは異なり、激しく腰を打ち付け始めたローラ。
逃れようと俺は夢中で、体を退こうとした。だが、できない。ローラが、がっしりと俺の体を掴んでいるからだ。太ももを持ち上げ、何度も激しく貫かれる。肌と肌がぶつかる乾いた音が響いてくる。ダメだ、あ、俺はもうダメだ。
「いやああああああああああ」
「もっと啼け」
「あ、あ、あああ、あ、あっ、あ、あ、だめだ、クる。あ、出る、あ、ああ」
「俺に突かれて果てる感覚、きっちりと覚えておけ」
「あ――!!」
そのまま俺は、一日に四度目の射精という、人生で初めての経験を果たした。
すっかり透明に変わった俺の精液が、鈍い勢いで鈴口から飛び散る。
「や、っ、もう、出来ない」
「まだ、だ。俺は満足してない」
「あ、ああン」
ローラは、俺の呼吸が整うまでの間、少しだけ動きを止めた。
だが、俺の息が少し収まった段階で、再度体を揺さぶった。
頭を振って、俺は泣き叫ぶ。しかし、許されない。
直ぐに快楽自体も復活した。ググっと奥深くまで貫かれる度、全身に快楽が響く。
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