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第10話
それから体勢を変えられて、俺は、猫のような姿勢になった。
そして首筋を噛まれながら、奥深くまで穿たれた。
先程までとは、違う角度で開発されていく。
「美味い。童貞をヨガらせながら喰うのは最高だな。しかも、この血。極上だ」
何を言われているのか、最早分からない。ただ、耳の後ろを舐められた瞬間、俺は泣いた。気持ち良すぎた。更に、両手で乳首をこすられながら貫かれた時には、もうわけが分からなくなった。快楽しか、意識できない。
「やぁあ、動いて、動いて、あ、あ、あ」
背中に体重をかけられて、押しつぶされるようにされ、俺は身動きを封じられた。すると、もう出来ないと思っていたはずの体が、再び解放を求めた。俺は無意識に、シーツに自身の陰茎を擦りつけていた。それだけでも気持ち良いが、これではイけない。
「やっぱ、ゆっくり開発してきただけあって、感度も最高になってるな。俺好みだ」
「ああっ、ッ、ぁ、ぁあ、ぁ、ァ」
「泣き顔も良いしな。俺の好みの顔だよ、お前」
「あ、はっ、うあ、あ、あ、ダメだ、あ、あ、出る」
「――もうダメだ。次は、中だけだろ?」
「あ、あ、中だけ、中、あ」
「お前、ドライが好きだもんな?」
「うん、うん。好き、好きだ、あ、大好き」
快楽に涙しながら、俺は何かを口走った。だが、何を口走っているのか、自分でも分からない。ただただ、気持ちが良いのだ。それしか理解できない。
「うあああああ――!!」
その時、思いっきり強くガンガンと前立腺を亀頭で突き上げられ、俺は、空イキした。いつもとは比べ物にならない程の快楽に、頭が、白ではなく青く染まった。その後、ずっと押し上げるようにされ、射精感が持続する。止まらない。だめだ、気が狂う。
「やめてくれ、あ――!! やめて、やめて、あ、あ、あ、死んじゃう!!」
「死なねぇよ」
「ンあああああああああああああああ!!!!!」
「声、ちょっとは抑えろ」
「あ、ああああ、あ、あ、ン――!!!」
永劫にも思える時間、俺の全身は、絶頂に襲われ続けた。漣のように襲ってきた快楽が、ずっと退かず、溜まっていく。なのに精神的にも肉体的にも解放され続けている。汗ばんだ全身が震え、己の体のその反応すら快楽に変わる。その時――中に、ローラの飛沫が飛び散った気配がした。瞬間、俺の理性が完全に飛んだ。彼の精が内壁に触れた瞬間、それまでとは質が違う刺激に全身を染め上げられた。俺の体は、作り替えられた。
「いやあああああああああああああああああ」
「――気持ち良いだろ?」
「あああああああああああああああああああ」
ローラが、再び俺の首筋を噛んだ。俺は、その後の事を覚えていない。
――気づいた時、俺は、ぼんやりとしたまま、寝台に腰掛けていた。
何か、喪失感があった。いつもの通り、白昼夢から醒めただけであるはずなのだが……胸が満たされていた。理由は、不明だ。
「お疲れ様でした」
目の前には、笑顔のローラがいる。人の良さそうな、猫じみた瞳を眺めながら、俺は曖昧に頷いた。
「……ああ。また来る」
そして、いつもと同じ言葉を吐きながら、首を捻った。
普段と同じで、肩こり等は消失している。なのだが、何となく腰に違和感がある。
今日は、ローラのマッサージの調子が、悪かったのだろうか?
まぁ、いくら俺の中の天使といえど、そう言う日も存在するだろう。
俺は気にしない事にして、その日も店を後にした。
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