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第12話
「挿れて欲しいか?」
「あ……」
朦朧とする意識が、僅かに鮮明になった時、俺は菊門に陰茎の先端をあてがわれていた。ヒクつく俺の孔も、既に存分に解されているグチャグチャの中も、昨日知ったばかりの、ローラの肉茎を求めている。
「ぁ……ぁ、ぁ」
「それとも、止めるか?」
「あ、止めてくれ」
俺は、少しだけ自発的に言葉を発する事が出来た。肉体は快楽を求めているが――男同士だ。まずい。こんな背徳的な行為に興じて、万が一はまりこんでしまったら、俺はもう、現実に帰れない。それがよく分かる。例えこれが夢だとしても、俺の体はきっと変化してしまうという直感があった。
「止めて良いのか?」
「ぁ、ぁ、あ、ああっ、うあ」
「が、挿っちゃいそうだなぁ?」
「あ、あ、ああああ」
ぬるりと、痛みも無く、ローラの巨大で長い陰茎の先端が入ってくる。めり込んできた熱いものが、俺の中を犯していく。だが、カリ首まで入った所で、ローラが動きを止めた。
「お前の内側、絡みついてくるな。もっと挿れろって言ってるみたいだぞ?」
「あ、やっ、ァ」
限界まで広げられている菊門が、キツキツにローラの楔を締め上げる。しかし――それでは、俺の感じる所には、届かないのは明確だ。ダメだ。足りない。
「あ、あ、挿れてくれ……ッ」
俺の本能的恐怖は、別の本能的快楽に、あっさりと陥落した。
「ああ、良いぞ」
「あ! あああ!」
実直に進んできたローラの陰茎は、迷いなく俺の前立腺を押し上げた。そして何度もこするように突き上げる。
「あ、ああっ、んあ、あ、ああ」
俺は息をするのに必死になり、その度に声も漏らした。
「あ、や、ヤっ、うあ、あ」
「気持ち良いだろ?」
「あ、あ、気持良い、うん、あ、ああ」
「コレで突かれるの、たまらないだろ?」
「うん、あ、あ、ああっ、ア」
「今日は、コレで突かれて、中だけで、最初から出してみるか?」
「う、うん。あ、もう俺、あ、出る、ぁ、イくっ」
「――素直だな。素直なお前、可愛いよ」
「うああああ」
ググッと一際激しく突き上げられた時、俺は達した。緩やかに穏やかな快楽が全身を支配し、気持ちの良いままに果てた。こんなにも優しい快楽を体験したのは、初めてだった。強すぎず、弱すぎない快楽だ。上がった吐息を落ち着けながら、俺はローラに首筋を噛まれた。今日も正面から抱かれている。だが、続いて今回は、上に乗せられた。
「ひあっ」
初めて、最奥まで貫かれ、俺は息を詰めた。
重力に従い、体がローラの全てを飲み込む。寝台の上で、俺はローラの肩に手を乗せた。騎乗位――概念としては知っていた。俺は、エロ動画を見る時、この体位が好きだった。だが、まさか自分が上に乗る日が来るなんて、想像もしていなかった。夢とはいえ、ありえない。ありえないのに、気持ち良い。
「あ、あ、あああっ、あ、あ、や、動くな、動かないでくれ、ダメ、ダメ、あ」
ローラが俺の腰を掴んで、体を揺らす度、俺はむせび泣いた。全身に快楽が響いてくる。下から突き上げられたり、前後に揺らされたり、かき混ぜるように陰茎を動かされる度、俺は再び果てそうになった。しかし――今度は、イけそうで、イけない。まるで、前みたいに、何故なのか、達してはいけない気が強くしていた。俺は、果ててはダメだと、何故なのか強く理解していた。
「うああっ、あ、あ、イきたいっ、うあ、あ、あ」
「だーめ」
「いや、いやだ、ローラ、頼むから、お願いっ」
「……っ、お前な、可愛い言い方を覚えてきたよな」
「お願いっ、お願いだ」
「……どうしよっかなぁ……あー、もう」
「やぁァ」
小さく舌打ちし、ローラが動きを止めた。
「……マズイマズイ。持ってかれるかと思った」
「や、や、あ、ああ、あ、あ、ああっ、そこ、そこダメだ、そこ突くの、やめてくれ」
「それはダメだ。今度は、この前教えた通り、俺のモノで雌になれ」
「あ――!!」
そう言うと、俺の左胸をローラが甘噛みした。ジンっと、その箇所からも快楽が流れ込んでくる。熔けていったその熱は、すぐに下腹部の熱と直結し――さらには、体の奥深くに灯った。
「あ、あ、ああああああ!!! いやだぁあ、あ、あ、だめだ、今噛まれたら、俺、俺、あ、あ、イくッッッ――イっちゃう、あ、あああ!!」
俺は、もうすっかり覚えてしまった空イキの気配に怯えた。どんどん快楽がせり上がってくる。怖い。強すぎるあの快楽は、俺には耐え難い。けれど――射精は何故なのかしてはダメなのだ。ボロボロと俺は泣いた。俺は、出したい。ドライじゃなくて、出したい。だが、体には漣が押し寄せてくる。ああ、もう、ダメだ。
「うああ!! あ、あああああ!! あ、ああああ!!」
ついに俺は、中だけで果てた。いいや、果て続けている。終わらない。
頭が真っ白に染まった時、乳頭を強く吸われた。
「いやあぁっ!!!!」
すると、やはり世界が青く染まった。もう快楽以外、意識できない。全身が性感帯になってしまったかのようで、繋がっている部分しか理解できない。何かが体から吸い取られている気もしたし、同時に、『快楽』が入り込んできている気もした。混じり合っているようなその感覚の中、絶頂が続く。
「ああ、ああ、あああああ!!!」
その状態で、よりにもよってローラが動き始めた。
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