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第24話

 気づいた時、俺は床に押し倒されていた。  あれ、これ、どういう状況だ?  そう思うのに、早く中に欲しいと思っている俺もいた。どういう事だ?  ただ――ひとつだけ分かる事があった。俺は、伸し掛ってくるローラの獰猛な瞳を見た後、隣にいる砂鳥くんを一瞥した。考えてみれば、隣室にも人が大勢いる。 「止め、止めてくれ、隣に、人……あ、砂鳥くんも……いるし……」  俺の陰茎を緩く撫でながら、ローラが意地悪く笑った。  思わず息を詰めた時、耳に舌を差し込まれ、それから囁かれた。 「お前が声を我慢すれば、誰にも聞こえない。そうだろ?」 「あ、ああ……」  俺は、頷いていた。それもそうだ。俺が、声を出さなければ、誰も気づかない。  それが正しいと、俺の意識が理解していた。だが――心の奥深い部分が、強烈な違和を訴える。――本当に? 本当に、そうなのだろうか? 「ぁ……ふァ」  しかし、服の上から陰茎を覆うように触られると、それだけでもう駄目だった。  陰茎をローラに咥えられた時、声が漏れてしまいそうになり、慌てて俺は、両手で口を押さえた。必死で嬌声を飲み込む。 「ン、んんっ」  ねっとりとローラが俺のものをしゃぶる。カリ首を重点的に刺激されたかと思えば、舌先ではチロチロと鈴口を蹂躙される。腰が熱い。ローラの舌が蠢く度に、射精感が募っていく。駄目だ、声が抑えきれない。だけど、堪えなかったら、みんなに気づかれてしまう。こんな姿、誰にも知られたくない。耐えきれそうに無い中、俺は快楽が怖くなって、何度も首を振った。 「あ、ああっ」  それから、一度口を離したローラが、俺の陰茎を握り、重点的に鈴口の刺激を始めた。先走りの液を舐めとっては、強く先端を吸う。時折舌先を差し込むようにされると、もうダメだった。――快楽がいきなり強まったのは、その時だった。 「うああっ」  俺は思わず悲鳴じみた声を上げた。駄目だ、強すぎる。強い、刺激が強い。体が一気に熱くなり、陰茎から広がる熱に全身を絡め取られる。 「良いのか? 砂鳥にも、隣にも、聞こえるぞ?」  何か言われたのは分かった。しかし俺の頭の中は、もう、射精したいという欲求一色だった。 「ダメだ、ダメ、ダメ、あ、あ、出る」 「今日は、前でイったら許さない。ダメだ。禁止」 「う、うあ、あ、あ、ああっ」  俺は絶望的な『命令』を聞いていた。俺は、これを知っている。何故知っているのかは、分からない。だが、ローラにこう言われたら、出してはダメになるのだ。 「いやぁっ、も、もう、ア」  激しく扱かれ、両手でローラに陰茎を擦られ、俺はボロボロと泣きながら悶えた。体が熱い。熱い、熱い。おかしくなる。もう、お化け屋敷への恐怖などどこにもない。全身が快楽一色に塗りつぶされていく。 「あ、あ、挿れてぇ、挿れてくれ!!」 「だーめ。今日は、どうしよっかなぁ」  泣き叫んだ俺のくるぶしを、ローラが持つ。  そして――俺の全身を舐め始めた。舐められる箇所がいちいち熱くなり、全身が性感帯に変わってしまったみたいになる。なのに、果てられない。もどかしい。焦れったい。既にそそり立った俺の陰茎の先からは、とめどなく液が漏れる。 「久しぶりだからな、じっくりと味あわせてもらうぞ」 「ぁ、ああっ、あ、あ、ン――っ!!」  ローラの舌が、再び俺の陰茎へとたどり着き、先端の蜜を舐め取り始める。 「あ!」  その時、ローラの指が、一気に二本、俺の中に入ってきた。的確に前立腺を刺激されると、さらに俺の前からは汁が溢れる。正面にいたローラが、その時俺を抱き起こして、後ろに回った。 「う、ううっ、あ」  そして、待ち望んでいた快楽が与えられた。貫かれ、俺の全身が歓喜する。  ここしばらく味わえなかった熱と硬度に、俺の体が喜んでいた。  後ろから抱き抱えるようにされ、下から奥深くまで楔を穿たれる。 「見てみろ」 「……?」 「ほら、藍円寺。お前の痴態、映ってるぞ」 「!」  その言葉に正面を見て、俺は絶句した。呪われた鏡に、貫かれている俺が映し出されていたからだ。結合部分がはっきりと見える。 「あ、あ、あ」  羞恥に駆られて、俺は震えた。すると耳元でローラが囁く。 「隣の部屋の連中に、声も聞こえてるかもなァ」 「や、いやぁっ……あ、ああっ」  耳の中をぴちゃぴちゃと舐められながら、俺は悶えた。こんなのは、駄目だ。何より卑猥で恥ずかしい。だが、顎を持たれ、視線を背ける事を許されない。しかも――ローラは動いていない。淫らに動いているのは、俺の腰だ。太ももが震えている。 「あ、ああっ、あ、あ、ン」  声も堪えられない。俺は揺れる体の制御もできない。  後ろから、ローラが俺の両方の乳首を擦り始める。すると俺の陰茎からは透明な蜜が溢れる。 「うあ、あ、ああっ、やぁっ」  ローラの指先から快楽が滲むように入り込んでくる。繋がっている所は、酷く熱い。泣きながら俺は、震えている。鏡を見ると、そんな俺の顔は、蕩けきっていた。ローラがそれから、俺の両方の太ももを持ち上げた。不安定になった体勢で、より深く、最奥まで貫かれる。 「あ――!!」  気持ち良さが響いてくる。なのに、イけない。出したくて出したくて、耐えられない。 「やだ、やだ、あ、あ、ああっ、も、もう……っ、あ、イかせて、イかせてくれ!」 「どうやって?」 「動いて」 「違うだろ? 『吸って』って、言ってみろ。いつもみたいに、吸ってって」 「あ、ああ、あ、吸って、吸ってぇっ」  俺は自分が何を言っているのか、理解していなかった。  だが次の瞬間、後ろから首筋に噛み付かれた時、それを求めていたと体はよく理解していて、悶えながらむせび泣いた。快楽が体の内側に注がれる。 「いやあああああっ、あ、ああああああ!!!」  その状態で、中の前立腺を激しく突き上げられて、俺は中だけで果てた。  前からは何も出ていない。 「あーあーあああっ!!! あ、あ、あああああ!!」  だというのに、絶頂感が続き、ずっと出っぱなしの感覚に陥る。  こうなってしまえば、俺はもうだめだ。 「ひああっ、あ、ああっ」  乳首を再び摘まれながら、首筋に思う存分噛み付かれる。どうしようもなくそれが、気持ち良い。その時、ローラの飛沫が、俺の中に飛び散った。すると、全身を灼熱が襲った。液が触れた箇所全てが、熱を持って、更なる快楽を求め始める。 「あ、あ、ああっ」  ローラの肉棒を締め付けるように、俺の中が蠢いている。つま先を丸くして、俺は快楽の本流に、必死で耐えようと試みる。 「――出して良いぞ、好きなだけ」 「うああああ」  耳元で囁かれた瞬間、俺は放った。止まらない。ずっとたらたらと白液が俺の陰茎から溢れ、飛び散る。 「鏡が汚れたぞ。どうする?」 「あ、ハ、はっ、うあ……あ、あ、ああっ」  そのまま――俺の理性は飛んだ。記憶が途絶した。

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