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第37話

 男らしい俺様が、子羊のように追い詰められている姿――たまらない。  異性愛者の僕ではあるが、ちょっとヌいてきたい気分にさせられる時がある。 「今のその感覚、よく覚えておけよ」 「あ、は、ァ……っ――! あ、あ、ああああああ! だめだ、あ、ヤダ、あ、やだやだやだ、まだ、まって、や、そこ駄目だ、あ、また!」 「もう一回イけ。中だけで」 「うあああああああああああああああああああああああ」  藍円寺さんの前立腺を、容赦なくローラが刺激する。絶叫して号泣している藍円寺さんは――ガクガクと震えているが、非常に気持ち良さそうな顔をしている。 「だめぇぇっ、イく、あ、またイっちゃう、うあぁああ」 「中でなら、いくらでも果てて良いぞ」 「あ、あ、あああっ、あ、あア――!!」  再び藍円寺さんが、ビクンとして動きを止めた。酸素を求めるように、必死に色っぽい唇を開けて、涙を零しながら、空イキした。先程よりは、快楽がちょっと少ないようだが、その分体が慣れたのか、持続が長いらしい。頭が真っ白になっている。 「ひあっ!」  その状態で、ローラが、藍円寺さんの首筋に噛み付いた。ローラの瞳が、獰猛に笑っている。ああ、美味しそうで羨ましい限りである。 「っ」  結果――快楽が強すぎたらしく、藍円寺さんが気絶した。  ローラはその後も吸血を続け、満足した後、藍円寺さんの陰茎を握って果てさせてあげていた。そして最近では、最初から脱がせるので綺麗なままの下着を身につけさせ、バスローブも着付けなおす。その上で、指先で傷口に触れる。すると、誰が見ても(よほどの霊能力者でもない限り)傷口が見えなくなる。傷が無いように見えるのだ。  それからローラは、藍円寺さんの体の各地をバシバシバシと叩いて、微弱な妖魔を追い払った。あとは、暗示を解けば――いつもの通りで、”マッサージ”の終了である。 「お疲れ様でした」 「……ああ。また来る」  目が覚めた藍円寺さんは、自分の服に着替えながら、そう言った。  そんな彼の内心は、  ――やっぱりここのマッサージ最高!  ――全身の重みも痛みも全部取れた!  ――俺のマッサージ店ジプシーも終了だ!  ――天国を見つけてしまった!  ――明日も来たい。寧ろもっと長時間マッサージされたい!  ――いつか一日中……は、サービスしてないよな……。  ――俺、まずい。このマッサージしてくれる、絢樫さんって人に恋しそうなくらい、マッサージにハマっちゃったよ。  で、ある。本日も、彼は一切、僕達が妖怪だとは気付かなかった。  自分がどんどん開発されていると知った時、彼はどうなるんだろう。  僕は、ちょっとそれも気になっているし、いつか気付いた所を見てみたいとも思っている。と、まぁ、このようにして、本日もCafe絢樫&マッサージは、閉店した。

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