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第47話
「良いのか? 砂鳥にも、隣にも、聞こえるぞ?」
「ダメだ、ダメ、ダメ、あ、あ、出る」
「今日は、前でイったら許さない。ダメだ。禁止」
「う、うあ、あ、あ、ああっ」
藍円寺さんが震えながら、涙をボロボロと零した。その雫を、ローラが舐めとる。
それから再び、藍円寺さんの陰茎を唇に含んだ。今度は両手を添えて、激しく扱きながらだ。藍円寺さんが泣き叫ぼうとして、そうして声を必死で飲み込んでいる。代わりに涙だけが伝っている。これは、出したいだろうなぁ。
「いやぁっ、も、もう、ア」
「だーめ」
「ン――っ!!」
のけぞった藍円寺さんの白い太ももが、震えている。ローラが、今度は右側の太ももを持ち上げて、その付け根付近に噛み付いた。今度こそ、藍円寺さんは声を上げた。もう理性が飛んでしまっているようだった。
「あ、あ、挿れてぇ、挿れてくれ!!」
僕は、そろそろ隣の部屋に行く段階だなと、荷物を一瞥した。
「だーめ。今日は、どうしよっかなぁ」
ローラはそう言ってニヤニヤと残酷に笑うと、藍円寺さんの太ももを舐め始めた。付け根から膝の裏側までをゆっくりと舐めていき、そして膝の裏側を重点的に吸い始めた。そこからも吸血している。つまり、藍円寺さん側には、壮絶な快楽が入り込んでいるはずだ。続いて踝まで舐めていき、今度はそこに吸い付いた。その後は、足の指を一本ずつしゃぶり、指と指の間を丹念に舐めてから、再び踝側へと舌を這わせる。そうした往復を何度かした頃には、藍円寺さんがすすり泣いていた。乱れた僧服から覗く肌が蒸気している。
綺麗な黒髪が白い肌に張り付いていて、いつもは強気な瞳が蕩けきっていた。
「僕、隣に行くね」
「――おう。朝には戻れよ。藍円寺が起きる前に」
「分かってるよ。じゃあね」
こうして、僕は、鏡の部屋を後にした。
隣室に入る時は、「怖くて……」と、口にする事を勿論忘れなかった。
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