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第52話 黒猫④

「っ」  するとローラのヌメる指先が、俺の菊門をつついた。 「もっと深く、キスして欲しいなぁ」 「ぁ……」 「そうしたら、お前ももっと気持ちよくなれる。『そうだろ?』」  ローラの声に頷いて、俺は必死で自分の舌を入れてみた。いつもローラにされているのとは逆だ。結果――ローラの指先が少しだけ、俺の菊門の中へと進んできた。 「っ」  俺がキスを深くすると、ローラの指先が進んでくるらしい。必死で俺はキスを頑張った。それは、ローラとキスがしたかったからだし、ローラが世界で一番好きだと証明したかったからだが、進んでくるローラの指先がもどかしい。時折小刻みに指を振動させられると、俺はうまくキスが出来なくなる。もっとも、指を動かされなくても、うまくは出来ないのだが……。 「ぅ、ぁ、ァ……」  再び硬度を取り戻した俺の陰茎が、次第に放ちたいと蜜をこぼし始めた。唇もまた、気づけば俺主導ではなく、ローラに貪られていた。息苦しい。口からまで、快楽が体に染み入っていく。しかし、俺の中を暴く指の位置は浅く、全く足りない。 「やぁあ、あ、あ、ローラぁ」  ボロボロと涙を零しながら、俺は喘いだ。もどかしさが全身を絡め取っていて、何も考えられなくなっていく。完全に力が抜けてしまった俺の首筋に――その時ローラが牙を突き立てた。 「いやあああああ、あ、ああああああ」  同時に指を引き抜かれ、肉茎を挿入された。痛みはない。酷い快楽が、首筋と中へと流れ込んできた。もどかしさが一気に吹き飛び、今度は逆に強すぎる快感に、俺は泣き叫んだ。 「待って、あ、待って、待ってくれ、あ、あ、ああああ!」  そのまま再び俺は果てた。しかしローラの動きは止まらない。 「俺もちゃんと、俺の気持ちを証明してやるよ」 「あ、はっ、うあ」 「俺はな、好きじゃない相手には、こんな風にはしない」 「ローラ、あ、ああっ、好きだ、あ」 「っ、今言うのか。持っていかれるところだっただろうが……ま、何度言われても嬉しいけどな」 「あああああああ!」  深く抉るように俺を貫いたかと思えば、前立腺を押し上げたまま動きを止め、その後は揺さぶるように、あるいは描き混ぜるように、ローラが動く。それら全てが――気持ち良い。 「あ、あ、ああああ、あ!! ローラ、あ、ン――!!」  その後俺は、何度はなったのか、覚えていない。  もっともこれは夢何だから、覚えていなくて当然なのだ。ローラもまた何度も俺の中に放ったようにも思うが、それはあくまでも夢だ。

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