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第37話 【番外】afterwards⑫ …… VR空間

 ヒースが触れた瞬間、俺が着ていたアバターが消失した。結果、リアル共有している俺の体は、一糸まとわぬ姿となった。 「ヒース」  遠恋なのだが、今後は毎日会えると思うと、胸が高鳴る。勉強も勿論頑張りたいのだが、こうしてふれられるのが嬉しい。ヒースは俺の頬を撫でると、不意に意地の悪い顔をした。 「っ」  その瞬間、撫でられていた頬から、いきなり快楽が走った。唖然としてヒースを見上げた俺は、直後息を呑んだ。 「え」  まるでローションで解されたかのように、じわりと後孔の中が蠢き、どろりとしたものが、俺の太ももを伝ったのだ。 「な、なんだこれ?」 「――医療用VRの空間では、所有者が内部情報を操作できる。患者の体の知覚情報の変化をさせる目的だ」 「な、なるほど……?」 「例えば、アバターを消すのと同程度の視覚操作や触覚操作で――お前の感度を上げる事も出来る」 「え!?」 「当然、慣らす事だって可能だ」  そんなのグランギニョルの夜の通常時のSEX機能より凄すぎる。SEXレベルをカンストさせたって、そんな事は出来ないはずだ。狼狽えた俺がベッドの方に後ずさると、軽く肩を押されて、そのまま押し倒され、再び深々とキスをされた。 「っ、ぁ……」  それだけで、俺は果てた。しかも快楽が強すぎるほどで、全身が汗ばみ、小刻みに震えている状態となった。寝台に上がったヒースは、俺の後ろに回ると、ぐったりとしていた俺を抱き起こした。そのようにして、VR空間でのSEXが始まったのである。 「ひ、ぃァ……あ、あ――ぁァ!!」  ヒースが俺を上に乗せて貫いている。後ろから抱きしめるようにして、両手では俺の胸の突起を、羽を転がすように撫でている。指先もぬめっているような感触で、ローションをつけた手で乳頭を甘く捏ねられているような感覚がし、それだけで俺はまた果てた。しかし出しても出しても、実際の体が射精しているわけではなく、そう知覚しているだけだから、何度出しても収まらない。  逆にヒースは、一度も放っていない。ずっと固く長く太いリアル共有している陰茎で、俺を貫いている。動かず、最奥まで穿ったままだ。リアル共有は、元々のサイズを記憶するだけだから、ヒースだって現実で勃っているわけではない。 「あ、あああ! んン――!!」  ヒースは俺の感度を操作して何度も俺をイかせる。なのに自分はそちらも操作しているのだろうが、いつまでも果てない。俺はむせび泣いた。ずっと気持ち良い感覚が続いていて、もう泣くしか出来なかったのだ。 「ヒース、ヒース……やだ、ぁ、ヤ……」 「嫌なのか?」 「うあ、あ、おかしくなっちゃう……あ、あ……」 「どうしておかしくなるんだ?」 「それは……ぁ……ァ」 「気持ち良いからだろ?」  耳元で囁かれて、俺は羞恥に駆られながら小さく頷いた。するとヒースが俺の耳の後ろをぺろりと舐めた。その衝撃で、俺はまた果てた。だがすぐに再び、俺の陰茎は硬くなる。 「ネジ」 「あ、あ……あ、はっ、ッ」 「気持ちが良い時は、『嫌』じゃなく『気持ち良い』と言う事だな」 「え、あ……あ、ァ」 「今日はそれを教える。覚えるまで、眠らせない」  ヒースはやっぱり意地悪だ。しかし俺はもうこらえられなくなって、大きく頷き、泣きながら言った。 「気持ち良い、気持ち良いよ、あ、あ、あああ」 「そうだ。それで良い。それに――嫌だと言われると傷つくんだぞ?」 「あ、ああ!」  漸くヒースが動き始め、それから少しすると、俺の中に放った。同時に俺の陰茎をヒースが片手で擦り上げたから、俺は中と外の両方で同時に絶頂を叩き込まれたのだった。  ――こうして、夜は勉強の他に、恋人同士としての行いも加わった。  別段、毎日SEXしているというわけではない。例えば俺の眠気が限界だったり、ヒースの朝が早かったり、そうでなく勉強に集中してしまったり、特に意味もなく……ゆっくりと雑談をするだけだったりという日もある。  ただ必ずヒースは俺にキスをして、抱きしめてくれる。俺はヒースの胸板に額を押し付ける時、その腕の温度を感じる時、本当に幸せでならない。  なお、週末や空いている日に、現実でもヒースは俺に会いに来てくれる。それは変わらない。その場合は――今の所、十割俺は抱かれている。そんなこんなで、三週間と五日が経過した。俺は一度だけ、ヒースのマンションにも行った。  なお本日は、VRの中で、抱かれている。勉強を開始したのも午後五時からと早く、さらに明日はヒースが午後から院に行くらしい。 「ぁ……ああ」  俺の乳首が、赤く尖っている。もう一時間ほど俺は、感度をあげられた状態で、胸をヒースに嬲られている。乳頭をつままれた瞬間、俺はその刺激だけで射精した。ヒースは俺を正面から抱きしめて、時に乳首に吸い付いたり、指で弄んだだりしている。俺は涙で濡れる睫毛を震わせながら、刺激される度に放っている。  不思議なもの――というか、VRで得た知覚情報は、医療用だと脳が記憶してしまうらしく、現実でも開発された刺激が残るようになってしまうようで、例えばヒースに挿れられただけで俺はイきそうになってしまったり、乳首も何度も開発されたので、現実でも放ってしまいそうになる。ただ、俺はヒースを求めている。いつだってそうだ。 「ん、ンあ、ヒース、もう……」 「ん?」 「挿れてくれ……ヒースじゃなきゃ嫌だ。早くヒースと一緒にイきたい」 「でも――嫌なんだろう?」 「もう、嫌だって言わない。だから、ぁア……っ、ぅ」 「約束だぞ?」 「うん、うん」  俺が何度も頷くと、ヒースが俺の太ももを持ち上げた。そして腰を進める。俺はその感触で果てた。 「エロいな。トコロテンか」 「誰のせいだよ……!」 「俺のせいだな。俺以外のせいだったら許さない」  そのまま正面からヒースに押し倒された。ヒースが獣のように荒々しく動き始める。  この夜もVRの中で、俺は何度も何度も果てたのだった。  ――明後日は、ヒースが現実で遊びに訪れる。現実でも恋人同士になってから、ちょうど一ヶ月の記念日だ。俺はその日が待ち遠しいと思いながら、ログアウト後に眠った。

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