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第14話◇
「だから、こっから改めてよろしくな?」
なんて言って、惜しげもなく。って言うのも変だけど。
今までまったく笑わなかったくせに、全然普通に笑いかけてくる。
「……つか。先輩、今までと違いすぎて、どう接して良いか分かんないんですけど」
「――――……あー。うん。早く慣れて?」
先輩は、ちょっと困ったように言いながらも、クスクス笑う。
そうだよな――――……。
この人、笑う人なんだよな……。
オレ以外は褒めてたし。
それを隣で聞きながら、オレがどれだけ、嫉妬――――………あ? 違う違う違う。そうじゃなくて……。どれだけあんたにちょっでも、ほめてほしくて頑張ってたか――――……って、ああ? だから違うっつの。
――――……ダメだ。
脳みそ、今、ちゃんと考えられない。
「あ。そうだ。宿取ろっかな……」
「――――……」
「三上、オレと別が良い? それとも一緒にして、仲良くなる?なんて。……やっぱ別にしとく?」
「――――……」
「こんな話聞いても、急に仲良くなんかできないよな」
しゃあないよなー、なんて言いながら、スマホで宿を探してる。
「あ、でも泊まる宿は一緒でいいだろ? 別のとこで経理に出すのも変だし」
「――――……部屋も、一緒で」
「え?」
「一緒の部屋で取って下さい」
「――――……」
んー……? と、先輩がオレを見てる。
もはや何も中身を悟られないように、窓の景色をひたすら眺めつつ。
その視線をスルーしていると。
先輩が、クスクス笑い出した。
「じゃあ、一緒に泊まろっか。 ――――……部屋で酒でも飲も。部長、好きなとこ泊って良いって言ってたから。良さそうなとこ選ぼ」
笑みを含んだ声でそう言って、先輩がスマホをしばらく眺めて。
「和室と洋室どっちがいい?」
「どっちでも……」
「どっち?」
「……じゃあ和室で」
「うん。いいよなー、布団もたまには」
クスクス笑いながら、スマホを眺めてる。
「三上、ここは? 部屋に温泉があるって。すごくない? 少し高いけど」
あはは、と笑いながら、スマホを向けてくる。
「ここでいい?」
「はい」
「じゃあもう取っちゃお……」
楽しそうに言って、しばらくスマホを操作して。
取れたよ。と笑う。
「2年分、めっちゃ喋ろーぜ?」
すげえ楽しそうに笑う先輩。
「なんかずっと我慢してきたから、お前と話すの、思ってた以上に楽しいかも」
とか言っちゃうし。
――――……何なのこの人。
……好意全開の態度。
もう違いすぎて、全くついていけないんですけど。
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