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第40話◇

 どこまでオッケイなんだろ。  キス。  もう終わり?とか言ってたし。  触れるだけじゃないとこまでは、オッケイ、なんだろうけど。  唇、柔らか――――……。  綺麗な笑みを作る唇。  キスしてると思うと、すげえ興奮する。  やばいなー……どこでやめよう。  やめれるかな……。  何度か離して、角度を変えて、また、重ねる。 「――――……ふ」  先輩の、吐息が、零れて。  空気を求めて、唇が少し開いた時。  ――――……も、むり。我慢できない。 「……ん、んっ……?」  舌、絡めた瞬間、ぴく、と先輩が退こうとしたけれど。  軽く、押さえつけた。  舌、絡めてると、小さく声が漏れる。  ぴくん、と体が反応するのが、なんか可愛くて。  上顎、舌で舐めたら、「んんっ」と先輩が目を見開いた。 「……っん……っちょ……待っ……」  布団についてた先輩の手が、ずる、と滑って。 「――――……っ」  完全に前のめりになってたオレと、全体重をその腕にかけてたらしい先輩は、一緒に、布団の上に崩れた。 「――――……う、わ……」  完全に、布団の上に、先輩を押し倒したような、形になってて。  ついた両手は、先輩の事を囲ってしまっていて。   「びっくり、した……」  ふ、と笑う先輩。 「何がびっくり、ですか?」 「――――……倒れた事もだけど……」 「――――……」 「……キス」  絶対、変な体勢。  会社の先輩を、自分の下に、組み敷いて。  見つめ合ってるとか。  普通、絶対ありえない。 「……先輩、もうやめた方がいい?」 「――――……」 「どうでした? キス」  ……聞くのも変だけど。  気持ち悪がってたら、さすがに続けるわけにはいかないし。 「……三上は?」 「――――……オレは……先輩がいいなら、まだしたいですけど」 「――――……」  オレのセリフを聞いて。  困ったみたいな、先輩の顔。 「……あのさ、三上」 「はい」 「――――……あの……」  ものすごく口ごもってるし。 「すみません、嫌ってことですよね」  したいとか言ったから、断るのに困ってるんだと思って、先輩の上から退こうとした瞬間。 「じゃ、なくて――――……」 「……なくて??」 「……なんか。……キス……良くてびっくり。して」 「――――……」  ドキン、と。いうのか。  ドクン、というのか。  とにかく、心臓が跳ねるし。  そういうやる気も、膨れ上がるし。 「……収まんなく、なりそうで」 「――――……」 「ごめん、何か、その気になんないとか……言った直後で、何言ってんだって感じだよなと、思って……」  そう言う意味で、口ごもっていたのかと思うと。 「オレで、その気になるなら――――……続きします?」 「……つか、オレ、男だけど。 三上って、いいの?」 「……先輩なら、平気そう」  ……平気そうっていうか。全然違うな。  先輩が良いというか。それも違うか。  先輩だけに、触りたいってのが、正しい。 「――――……しますよ?」 「……でも」  まだ迷ってるみたいな先輩を遮って。 「……嫌じゃないなら、黙ってください」  そう言ったら、先輩はオレをじっと見つめて。  キスされる直前に、瞳を伏せた。

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