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第51話◇観光2
「三上、仁王門、写真撮ろ」
「あ、撮りますよ」
スマホを構えるけれど、先輩はきょろ、と周りを見回して。
「すみません、写真、撮ってもらえますか?」
すぐ近くに居た、優しそうな年配の夫婦に声をかけてる。
すぐ了解を貰えたみたいで、スマホのシャッターだけ伝えて、オレを呼ぶ。
「三上こっち、門バックで。 早くー」
……子供か。
苦笑いが浮かびながらも、早足で先輩の隣に並んで、ハイチーズの声で笑ってみる。
すぐに先輩は、撮ってくれた人達の所に走っていって、写真を確認してお礼を言ってる。と思ったら、今度はその人達のカメラを受け取って、写真撮影タイムに入った。
何枚か撮って、その人達にカメラを返して見てもらってから何か話してから別れて、すごく楽しそうに笑いながら、戻ってきた。2人はオレにも視線を向けてきたので、笑顔で会釈で別れた。
「お待たせ、ごめんな」
「全然良いですよ。そんなの謝んないで」
「――――……うん」
ふ、と先輩が微笑む。
「何ですか?」
「いや? なんか――――…… 昨日から三上が、めちゃくちゃ優しいから、なんか……戸惑うというか」
「――――……つか、そんな事言ったら、先輩とこんな風に一緒に居る事自体、オレの方が戸惑いまくりですからね。昨日までのオレが見たらひっくり返りますよ」
「あぁ。……そっか」
「そうですよ」
先輩がオレを見て、笑うので。
オレも、ふ、と笑ってしまう。
仁王像が居る門を潜り抜けると、清水の舞台が目に入ってくる。
「あそこから下を見たのは覚えてる」
先輩が懐かしそうに笑う。
――――……可愛かっただろうなあ、高校生の先輩。
まあ。
…………今もめちゃくちゃ可愛いけど。
……うーん。 なんか。
仕事だったからなのか、オレと仲良くならないようにしてたからなのか。
この可愛いイメージは、無かったなあ……。
仕事の話以外を、普通にしゃべると、思っていたよりも大分、幼い気がする。幼い……というか。……なんか、可愛い。
――――……あー、なんか。
……今更だけど、あれだな。
オレ、男。
平気なんだな。
24年も生きてきて。
初めて認識。
男っていうか。
先輩なら、て感じか。
族ん時も、上には可愛がられたし、下にはめちゃくちゃ慕われてたし、仲の良い奴、めっちゃ居たし。学生時代も、顔が良い奴なんか別に、普通に居たけど。
……男にそういう意味で惹かれたりした事は無かったんだけどな。
「……みかみ? 聞いてる?」
「――――……あ、はい?」
あ。すげー、ぼーっとしてた。
「すみません、何ですか?」
「写真、送ったよ」
「あ、今の? ありがとうございます」
スマホをポケットから出して見ると。
2人並んでる写真。……やっぱり、オレと先輩がこんな風に写ってるの、不思議だな。
「よく撮れてますね。天気良いし。綺麗」
「うん」
「――――……やっぱり自分の白い服の写真。違和感すごいです」
「そうなの? そんなに白、着ないんだ」
「うん。着ませんね」
「じゃあなんで今回はそれ買ったの?」
「――――……先輩が似合うって言ったからですけど」
「え。あ、そ、か」
試しに言ってみたけど。
――――……また、そういう顔するし。
狼狽えてる、みたいな。
ドキドキしてる、みたいな。
何なんだそれ。……ほんとに、勘違い、しそうだっつーの。
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