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第61話◇side*陽斗 5

 学生時代はそこそこ、好きな子も出来たし、ちゃんと付き合ってたし、問題、無かったはず。  社会人になって、合コンによく誘われて行くようになってからかな。  何か、すごいモテるようになって。  職場で出世街道とか言われてる事とか大抵誰かが言うと、そう言うのでも狙われるというのか。スーツが似合うって言われた事も結構あったから、スーツ効果? なんか、そういうのかも。  初めて会った女の子に怖い位にモテて、過ごしてる間に。  ――――……この子達って、別にオレだから好きなんじゃないよなあ……。 他の合コン行ったら、そこで条件よさそうな奴見つけて、いくんだろうなあ。とか。  まあ合コン行ってる時点で、純愛を求めんのもどうかってもちろん分かってるけど、でも、あまりにあからさまだと、何か段々腰が引けてきて。  友達が結婚したりしていく中、オレは、興味が失われて行ってるというか。  別にすごく結婚願望があるわけでもないのだけれど。  うーん、なんか、ヤバい気がする。なんて思っていたのを、ちょっと、人に 言ってみたかったのかも。  三上って、動じないし。  大人だし。  優しいし。いい奴だし。 でもってちょっと可愛いし。  聞いてくれそうな気がしてしまって。  話すと、三上、ちょっと、困った顔してて、  んー、と考え始めてしまったので、少し冷静になった。  オレは少し話せてちょっとすっきりした。  まあ、やっぱり言っても仕方ない事だと話しながら分かったし、よし、もう、時期を待つしかないかな。いつか良い出逢いがあるかもしれないし、なんて思って。もう話を終わらせて、寝てしまおうと、思った。  そしたら――――……。  キスしてみます?とか言われて。  なに、オレがキスとかしたいと思えないって言ったから。  ちょっと試してみてくれる、てこと?  ……ていうか、三上には、何もメリット無いのに。  ――――……そこまで、考えてくれるんだ。  ほんといい奴……でも志樹に殺されそう。  とか。色々思ったのに。  あろうことか。結局、キス、してしまって。  そしたら。  ……やる気出ないとか。その気にならないとか。言ってた事が恥ずかしくなる位その気にさせられて。  …………そのちょっと前まですごく可愛い弟だったのに。  ――――……なんか、全然違う、興奮した、完全に男の顔、してきて。  ギャップ激しすぎて、心臓がやばくなって。  正直、意味が分からない位、気持ちよくなって。  陽斗さん、なんて、呼ばれるし。  蒼生、なんて。呼ばされて。  もう三上の顔、2度と見れないんじゃないかと思う位、恥ずかしいことしたまま。昨日は、寝てしまった……。  つか。  ……男とそんな事するとか、しようとか。  …………かけらも、思わず生きてきて。  女の子にその気になんないとか、悩み相談した上で、男の三上にそんな事させて、感じまくったオレって。  思い出すだけで、恥ずかし過ぎて。  恥ずかしさで死ねるなら、間違いなく、オレ、すぐ死ぬと思う。    なんてあほな事を思いながら、朝の目覚めを、迎えた。

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