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第70話◇好きかも

「――――……」  モヤモヤが晴れたどころじゃなくて。  なんかすごく、気分、上がるし。  だってこの人。今。  三上じゃなきゃしたくないって、言ったよな。  どーしよ。  なんかすげえ、嬉しいんだけど。  嬉しすぎて、何も返す言葉が浮かんでこない。  そのまま、少し俯いてしまった先輩を見つめていると。   「あと――――……」  また静かに、口を開いて。 「最後まで、ていうのも……任せる。 三上ができるなら、良いし」  ていうか。直接的な表現、相変わらず一切使わない位。  ――――……おかしい位、ウブなくせに。  そんなこと、言ってしまって、いいの?   「ほんとに、いいんですか?」 「……だって、よく考えたら――――……してる内に、途中でやめる、事になっちゃうて……ことだよな。三上に、任せる」  もうほんとにおもしろい位、何も直接的な言葉を、言わずに。  そんな事を言ってくる。  この類の会話、とことんズレて、ウブな事ばっかり言うくせに。  なんでたまに、思い切りよく、誘うような事言って、最大限に煽ってくるんだろう、この人。 「オレが出来るとこまでしていいってこと?」 「……うん」 「オレと全部することになっても、後悔しませんか?」 「――――……三上ができるなら、しないと思う。だって」 「だって?」 「……三上、オレの嫌がる事はしなそうだから……… 三上が出来たってことは、オレもしたかったから、してくれたって、事だろうから」 「――――……」 「……最後まででも、途中まででも、もう、任せる」  何だこれ。  なんかものすごく、可愛いんだけど。この人。  今すぐキスして、いますぐ襲いたい気も、ものすごくしてしまうんだけど。 「――――……」  赤い顔で俯いてる、先輩に。  思わず、ふ、と笑んでしまう。  なんか、すげー可愛い。  「――――……分かりました」  そう言ったら。  先輩は、ふ、と顔を上げた。 「――――……じゃあ、もう、この話、一旦終わりにしましょう」 「え?」 「これで最終決定でいいんですよね?」 「……うん」  少し間を置いて、けれどまっすぐ見つめながら、先輩が頷く。   「分かりました。じゃあ、決定で。で、一旦この話忘れましょう」 「……忘れるって?」 「この話挟むと、そっちばっかりいっちゃって楽しめないんで。あとは旅館戻ってからで良いんで、一旦忘れて観光しましょ。昨日の事も今日の事も、とりあえず、もう話に出すの、無しで。良いですか?」 「――――……分かった」 「超駆け足の修学旅行のやり直し、今日と明日でしましょう」  オレがそう言ったら、先輩は、ふわ、と、とても嬉しそうに笑って。  ん、と頷いた。  はは――――…… なんか、ほっとしたような、笑い方。  ……すっげえ可愛いし。 「行きますか?」 「うん。――――……あのさ、三上」 「はい?」  立ち上がりかけてた腰を下ろして先輩を見ると。 「……オレ、なんか、すごくお前が好きかもしんない」 「――――……」  突然の、そんな爆弾を放り投げて。  それから、オレの固まってるのを見た先輩は、そこでハッとしたように、口元隠して。 「…………何言ってんだ、オレ……」  と言いながら、慌てて立ち上がった。   「あ、ケーキもほとんどオレが食べたし、ここはオレが払う」  なんて言って、オレが持ってた伝票をぱ、と奪って。  足早に、レジに行ってしまった。 「~~~~…………」  何なの、ほんと。    ヤバいな、可愛くて。    別に、恋愛の好きとか、そういうの考えて言ってない事は分かってる。  そこまで、あの人、絶対考えてない。  でもなんか。  考えてない分、純粋に、好きって、言ってくれたんだろうなと思うと。  ダメだ。可愛すぎて。     後書き♡ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ なんか今この2人かくのが 楽しすぎて(笑 2回目更新~\( 'ω')/

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