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第94話◇尊いって。1※

 もう、先輩の制止とか、そういうの、全部聞かない。  そう決めた。  聞いてたら、する事が中途半端になりそうだから。  ――――……それから。  そろそろ、限界。――――……煽りすぎだっつーの。 「陽斗さん……」  キスを外して名を呼ぶと、自分の吐く息が、やたら熱い。  あーオレ。興奮しすぎ……。 「……ん、ん?」  オレの声に反応して、すっかり涙に濡れてる瞳で見上げてくる。  散々胸をいじめたせいで、なんだか、ぼー、としてるみたいで。 「――――……抱きますよ?」 「……ぅん」  最終の最終の、最終の確認。もうほんとに聞かない、と思って。  すると。戸惑う事すら無く、とろん、とした顔で、頷いて瞳を伏せた。 「――――……っっ」  何なんだ、この人。  ぅん、じゃねーよ!!  ……ヤバいくらい、可愛いんだけど。  ――――……思うままに、襲わないようにするのが、大変すぎる……。  相手が女の人だったら、体的に繋がるようにできてると思うし。  ……そんな負担にもならないかもしれねーけど。  相手は、まったく初めての、もしかしたら、何されるかもはっきりは分かってなさそうな、男の人で。  暴走する訳には絶対いかないのに。……今迄になく、暴走しそうで、ヤバすぎる。    自分を落ち着かせようと、ちゅっと頬に優しくキスして、それから唇にキスして。  そのまま、首筋から胸に、舌を這わせた。 「……っ」  胸の尖りに口づけて、舌で刺激して、片方は指でつまむ。 「あ……っ」  びく、と震えて、先輩の震える手が、オレの肩に触れた。 「……っん……ふ」  頭の上で、吐息が震える。先端がぷつ、と立ち上がる。それを舐めると、さっきよりも大きく震えた。 「――――……や……っあっ……」  驚いたみたいに、声が上がる。でも、抵抗はしてこない。抵抗する気は無いんだというその事実に、余計興奮する。    脚を割らせて、ぐいと手で開かせた。胸から舌を外すと、体を起こして再び唇を塞いだ。ほっとしたように、舌で応えてくれる。  キス、好きだなあ、この人……。  ……ほんと、可愛い。  胸から手を外して、腹筋を沿って、下へ滑らせる。  下着の上から触れても、もう反応してるのが分かる。 「……あ、……」  キスが外された。焦った顔して見上げてくる。  わざと見つめ合ったまま、下着の中に、手を滑らせて直で触れる。 「……っあ――――……」  びく、と腰を引こうとしたみたいだけど、オレの脚で押さえこんでるので動けないまま。どうしたらいいか分からない、といった顔で、オレを見上げてくる。  指の腹で先端を刺激して、それから全体を扱くと、「んん」と喉の奥で悲鳴が上がって。  恥ずかしいのにオレから視線が外せないみたいで、潤んでる瞳で見上げたまま、目を細めてる。涙が、どんどんたまっていく。  あーもう……可愛い。  見つめ合ったまま、少し強く扱いて刺激すると、更に形を変えていく。 「……っやめ……」  初めて漏れた、制止の声。  ――――……聞かねえけど。  その言葉を、深いキスで奪って、舌を吸って。  ぎゅ、と瞳を閉じた所で、キスを外した。  そのまま、先輩の下半身の方に、体を下ろす。  瞳を閉じて快感をこらえていた先輩は、何をされようとしているのかは、分かってないみたいだった。

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