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第114話◇好きがバレる

 バレる、か。  先輩が食べてるのを眺めながら、気にしてる事を考えてみる。  ――――……オレらがキスしたりセックスしたりした事。  それはバレない、よなあ……?  ――――……まあ、せいぜい、仲いいんだなと思われる位?  ていうか、オレら今まで、マンツーマンのコンビなのに、全然仲良くない奴らだと思われてたと思うから。  もし仕事に出る以外で一緒に居られるとこを見られても、普通に仲良くなったと思われる位じゃねえかな。  絶対、オレ達がそんなことした、なんて、誰も思わない。  まあバレるとしたら――――……。  兄貴位だ。  ほんと、底が知れなくて。 そこだけは、分からない。  何か感じ取った兄貴に、かまなんてかけられたら、この人、秒でバレそうだし。    まあそこは、別として。  やっぱりどう考えても、その他の人間にはバレるとは思えない。  キスしてたとか、現行犯でも無い限り。 「大丈夫ですよ、さっき先輩が言ったような事は、バレないですよ」 「そうかなー?」 「ほら、もともとオレら仲良くしてなかったし。普通に話すようになって良かったな位じゃないですか?」 「そう……??」  うーん、と考えて。 「……やっぱり会社でそういうのバレるのはちょっとやだよな? 仕事やりにくくなるし」  そんな風に言いながら、先輩が眉を寄せる。 「大丈夫ですよ」  何回視点を変えて考えてみたって、オレがちょっと笑って先輩を見てたからって、そう簡単にオレらがそんな事してるなんて思う奴は居ないと思う。  ましてやそれを口に出すとかしたら、変に思われるのは言った奴だろうし、こっちに被害はない。  オレら、合コンでモテるとかも知られてるし、まさか男同士でオレらが、とか思われる事はないと思う。――――……んだけど、もしかしたら。 「まあ、オレが先輩を見続けてて、それに気づく奴が居たら、オレが先輩を大好きって事はバレるかもしれないですけど……」 「――――……」  また何でそんな恥ずかしい事平気な顔で言うんだ。  ……って、多分だけど絶対、思ってる。  オレをムッとしながら見つめてくるので、苦笑いしながら続ける。 「それでも、それはオレの事だけだし。した事とかはバレないですよ」  むむ、と先輩はオレを見て。 「そういう三上に対して、オレも見つめてたら、こっちもバレるじゃんか」 「――――……」  ……ん? こっちも、バレるって、どういう事? 「こっちもバレるって?」  と聞いたら。 「――――……」  黙ってオレを見て。  「あ」と呟いたと思ったら、かあっと赤くなって視線を逸らされた。 「な、んでもない。わらび餅食べるから邪魔しないで」  なんか、膨れながら、食べている。  んー……。  ……オレの好きがバレるって言ったら。  ――――……こっちもバレるって言ったんだよなー、この人。  何それ。  あんたの好きも、バレるってこと?  ……好きって、今、遠回しに、言っちゃったってことだよな。  ……何、その可愛い返事と態度。  食べ終わったら2人で話せるとこ、行こ。  ……個室の料理屋とかねーかな。  後で探そう。    

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