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第129話◇守る。
「あの写真の事は、マジで忘れてもらっていいですから」
「だからなんでだよ。カッコいいって言ってるじゃん?」
クスクス笑って、先輩はオレを見つめながら、あ、そうだ、とにっこり笑う。
「オレのスマホに転送してって言ってるじゃん?」
「絶対嫌です」
「もー、何で? カッコよかったって言ってんのに」
「それだけは聞けません」
あくまでそう言って断ってると、先輩は面白そうに瞳を細める。
「でも、ほんと、カッコよかったよ、三上。まあびっくりだったけど。
……総長だもんなぁ……」
ぷ、と笑う先輩。
「まあ……今となっては、反省する事しかないですけど。それをやって役に立ったなーっていうのは……」
「のは?」
「なんかやたら肝が据わったのと…… あと、オレ強いんで。なんかあっても守りますからね、先輩」
そんな風に言うと、先輩はオレをじーっと見つめて。
「――――……」
しばらく何か言いたげにオレを見つめ続けた後。
ぷ、と先輩は笑った。
「守ってくれんの?」
「はい」
面白そうに笑んでる瞳を見つめながら頷いたら。
先輩は。
「……普通そういうのは女の子に言うんだと思うんだけどな……」
クスクス笑いながらも、ふ、と息をついて、オレから目を逸らした。
「――――……先輩?」
ぐい、と腕を引いて、こっちを向かせて。
見つめ合う。
何か。
今の目の逸らし方が、気になって。
少し考えて。
「オレ、先輩が一番大事ですからね? だから守る対象は先輩ですから」
今オレが、先輩に言っておきたいのは、これ、だよな。
そう思って告げた言葉に、先輩はすごく驚いた顔をして、オレを見て。
「何言ってんの、三上……」
ふ、と笑って、オレを見上げる。
まっすぐ見上げてくる視線に。
ちょっとホッとする。
「女の子」ねー……。
……先輩がこだわってんのは、そこかなあ。
女の子と楽しんでから、とか。
オレにそっちに行かせたいとか?
そっちのが普通って事だよなー、きっと。
「――――……」
よしよし、と先輩の頭を撫でてみる。
「は……?」
唖然とした顔で、オレを見上げる。
「すげーキョトン顔……」
ぷ、と笑ってしまうと、ものすごいしかめ面で、オレを見てくる。
「何で急に頭なでんの……?」
「――――……なんか、すげー可愛いなと思って」
「……もーオレ、お前の事が全然分かんないけど」
「まあ、その内分かってもらえればいーです」
「ほんと、変な奴……」
またふい、と顔を逸らすけど。
さっきとは違う。今度は、照れてる感じ。
ほんと。
分かってもらうしか、ないんだろうなーと思いながら。
また、ナデナデ撫でておいた。
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