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第132話◇一緒に朝食
昨日は寝る前まで先輩と話してて。
そのまま、眠りについた。
朝起きて、出社の準備をして、何だか自分でも浮かれながら家を出る。
駅前に近付いて、どこら辺に居るか聞こうとスマホを出した時。先輩を発見。
昨日もスーツは着ていたけれど、ネクタイは外してたし、上着も脱いで崩して着ていたから。やっぱりちゃんと着てると。
ほんと、清々しい位に。――――……なんか綺麗。
……まあ普通の人は、格好いいって言うんだろうけど。
「先輩」
声をかけると、スマホを見ていた先輩が顔を上げて、オレを見て、笑顔になる。
「――――……」
あー。なんか。
旅行先での笑顔はちょっと特別で。
普段の生活に入ったら、笑ってくれないかも。とか。
実は少しだけ、心配してたんだけど――――……。
「おはよ、三上」
先輩の笑顔は、変わらなかった。
多分。会社の中に入ったら、少し変わるんだろうけど。
なんか、すげえ嬉しいかも。
「外で会おうって言ってくれて、ありがとうございます」
思わず言ったら、先輩は、ん?とオレを見て、何それ、と笑う。
「三上、あっち。いこ」
先輩の隣に並んで、歩き出す。
店はすぐ近く。広い通りから一本入った所だからか、そこまでは混んでない。広めに座席が取ってあって、いい雰囲気。
サンドイッチとコーヒーを頼んで、先輩と向かい合う。
「電話切って、すぐ寝ました?」
「もう、一瞬だった」
「じゃあ良く寝ましたよね」
「ん」
「旅疲れないですか?」
「無いよ。一応あれ、出張だけどな?」
「はは。でも金曜の夕方以降は完全に旅行でしたけど」
「まあ。そーだな」
先輩はクスクス笑いながら、時計を確認して。
「オレもちょっと早かったけど、三上も早かったから……ゆっくりできそう」
「めっちゃ楽しみで、早起きでしたから」
そう言うと、先輩は、クスクス笑う。
「三上って、いつも朝ごはん、作ってんの?」
「外出るのめんどいんで、軽く作る……という程でもないですけど」
「へー。何を?」
「パンと卵とハムとかとコーヒーとか? そんな感じですけど。帰り道にあるパン屋でパンを買って帰る事も多いかも」
「へー」
「先輩はここによく来るんですか?」
「うん。朝余裕があったら、ここに来てる。無い時は、パン焼いて終わり」
「じゃあ、オレもここ来ます」
「――――……いつ来るかわかんないけど」
「7時半迄に連絡ください。いつでも行けるようにしとくんで」
そう言うと、先輩は、いつでもって……と笑う。
「いつでも、じゃないよ? 余裕ある時だけだし」
「んー……まあ……オレんちで、一緒に、でも全然良いんですけど」
「――――……」
先輩は、また、マジマジとオレを見つめて。
それから、ちょっと嫌そうに眉を寄せて。
「それ、会社で言ったら、アウトだからな……」
と、言ってくる。
「分かってますよ。――――……会社では言いません。だから、会社以外で、オレとの時間、下さいね」
「――――……」
またまた黙って、見つめられていると。
店員が、食事を持ってきて、並べて行った。
「おー、うまそう。いただきます」
コーヒーに口をつけると。
イイ香り。
「コーヒー、イイですね。美味しい」
「だろ?」
嬉しそうに笑いかけて。
先輩は、あ、と気づいたみたいに、笑いを引っ込めた。
「三上、さっきのも、会社で言わないで。ていうか、もう、全部怪しいこと何も言わないどいてよ。オレきっと、変な反応しか返せないから」
「――――……オレとの時間取って、って? 別にあれ位、良くないですか? 人の前では言わないですよ?」
クスクス笑いながら聞くと、先輩は、はーと息をつきながら、コーヒーを飲んで。それから、じっとオレを見つめてきた。
「三上は多分、平然と色んな事言って、ほんと平然としてて誰にも悟られたりしないんだろうけど――――……オレ、絶対迷惑かけると思うし」
「ストップ」
思わず、止めてしまった。
「また変なこと言ってますよ。――――……オレが平然とちょっかいかけてまでは良いですけど。それで先輩が可愛い反応して、たとえ周りにバレたって、それオレに迷惑かかるとかいう話じゃないですからね。 ていうか、完全にオレのせいじゃないですか」
言ってる内に可笑しくなってきて、笑ってしまう。
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