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第154話◇ side*陽斗 1
――――……ほんと。三上。
まっすぐ、だなあ……。
ああもうオレ。
何を考えたらいいのか、分かんなくなってくる。
大体、こういう事考えるの、得意じゃない。考えるほど、正解がよくわかんなくなってくるというか。
――――……三上と付き合ったら、楽しそう。うまくいっちゃいそう。
なんか、すごくそう思っちゃってたけど。
三上の将来、ほんとそれでいいのかなって、オレは思ったから。
――――……それで、保留、にしたはず。
それに。2人で旅行なんていう非日常な時間から、日常に戻って。
そしたら、頭も冷めるかもとか。……なんか、色々思ってた。
確か、そうだったはず。
帰ってきて、今日志樹と会ったら、なんかもう、志樹には隠せないなと思って、どう説明しようか、この今の微妙な関係込みで、すごい考えてたけど。
なのになんか。
三上が、まっすぐ過ぎて。
――――……なんか色々、ぐらぐら揺らぐ。
しまいには、女の子ともう十分楽しんできてるとか、言ってるし。
……そこまではっきり言われると、なんかちょっとムカつくんだけど。いやもう、分かってるけど。
………散々女の子と居て、それでも、オレに言ってきてるなら、じゃあいいのかな? ……って一瞬、思いそうになってしまった。
いやいや。
……ほんとに良いのか?
なんかもう、全然分からない。
世間の目とかさ。
家族とか――――……今後のこと。とか。
オレと付き合う事って、三上にとって、良い事なのかなって、思ってた筈。
志樹とは話さなきゃとは思うけど……それでいいのかなぁ。
「先輩、これ、うまいんですけど。食べてみます?」
「なに?」
「アボカドに、出汁のゼリーがのってるんです」
「なにそれ、美味そう。食べてみたい」
なんだかすごく美味しそうなので、考えてた事も一瞬忘れて、そう言ったら。三上がなんだか嬉しそうに笑って。
「絶対先輩、好きだと思うんですよね」
すごく楽しそうに言って、ふ、と瞳を優しく緩ませる。
その笑い方が、あんまり優しいから。
なんか、思わずムッとしてしまった。
――――……ほんと、こういう甘い感じ、慣れてる。
慣れてるなって思えば思う程に。
――――……三上は、別にオレじゃなくても、全然うまくやれるんだろうなって思うというか。
……そうなると、今勢いで付き合ってとか、しない方が良さそう。とも思ったり。なんせ、会社、同じだし。オレ、今のところ、あの会社でずっとやってくつもりで。そうなると、志樹も三上も、ずっと関わっていくんだろうし。
――――……って別に、今そこまで考えてたわけじゃないんだけど。
なんか、考えれば考える程、ドツボに……。
「あれ、祥太郎?」
三上が、不意に、そう声を出した。
ふと、三上の方を見ると、三上の隣に、元副長さん。
さっき三上が頼んだアボカドの料理と、グラスを3つ持って、三上の隣に座った。
「今ちょっと落ち着いてるから、一杯だけ一緒に」
そう言いながら、料理とアルコールを、置いていく。
「お会いするの、志樹さんと2回来てもらってるので、3回目ですけど。改めて」
そんな風に言いながら、グラスを差し出してくる。
なんか、三上とは別の感じの色気があるなー、なんて思いながら、グラスを合わせた。
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