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第155話◇ side*陽斗 2

「何て呼べばいいですか? オレが先輩て呼ぶの変ですよね」  三上を挟んで、3人で座る。  グラスを合わせてすぐ、そう言ってクスクス笑われた。 「あ、渡瀬だよ」 「じゃあ、渡瀬さん、で」 「うん。祥太郎、君?」 「は? だめ。中原です、こいつ」  三上がいっつも祥太郎としか呼んでないから、祥太郎君でいいのかなと思って口にしたら。即座に三上からダメだしと名字が飛んできた。 「何でオレが三上なのに、こっちが名前なの。おかしいでしょ、先輩」  ぶつぶつ言ってる。  最初、ぷ、と笑いそうになったけど、はた、と気付く。  ――――……ていうか。これって。 「……三上、何か、中原君に話した?」 「え」 「――――……」  だって、今の、おかしいじゃん、普通。  名前呼びにそんなに引っかかるとか。  じっと見てると。 「……祥太郎には、話しとこうと思って」 「――――……」  どこまで、話したんだろ。  ……やっぱり、ちょっと恥ずかしいかも……。  聞くに聞けず、止まってると。 「――――……オレ2年間、渡瀬さんへの愚痴、聞いてたんで。一緒に店に来た時点で、は?て感じで。 話さざるを得なかった感じですよ。ていうか、オレ偏見はないんで、大丈夫ですよ。あとは、渡瀬さんが迫られてるって所で終わってます」  三上のかわりに、中原君がそう言った。  ――――……2年間、愚痴聞いてた。  ちょっとずき、と胸が痛い。と思った瞬間。 「お前さらっと余計な事言うなよ、バカ」  三上が中原君にそう言った。 「はー? 事実だろうが」 「あれは、先輩、違いますから」 「いい、大丈夫」  まあ、しょうがないとも思ってるから。  なんか三上は焦ってるけど。  そしたら、中原君が笑い出した。 「愚痴ってましたけど、結局何が嫌なのか分からなくて、ついこないだも、いつも愚痴ってるけど、結局何なのかわかんないって言ったばかりで。ただ単に、優しくしてもらえなくて拗ねてただけだと思うんで。その程度の愚痴ですよ」 「お前、それもフォローになってねえからな」  三上はじろ、と中原君を睨んでる。  えーと。  ……優しくしてもらえなくて拗ねてたって……。  ……なんか。胸が、きゅんとしてしまう。  ヤバいな、オレの、この反応。  明日から、今日よりももっと優しくしてしまいたくなってしまうんだけど。   「さっきから少し見てたんですけど」 「うん?」 「蒼生ってもしかして、渡瀬さんに、めちゃくちゃ甘々だったりしますか?」 「――――…………」  めちゃくちゃ、甘々……って。  じっと見つめられて。  理解した瞬間、めちゃくちゃ恥ずかしくなって、思わず視線をそらしてしまった。  

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