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第159話◇何してくれてンの?

【side*蒼生】  何やら、ものすごく困ったような可愛い顔した先輩が。  不意に、近づいてきて。  少しだけ唇に触れて。  そのまま、ぱっと、離れて行った。 「――――……」  ――――…………は??  唖然。  今のなに??  この人、今――――……キスした??  ……何してくれてンの。マジで。  あまりに一瞬だったし、しかも、そんな事する訳ないと思ってしまうから、何かの別の動作だったのかとか。色々考えてしまったけれど。  ――――……どう考えても、今のって。   「――――……」  少し眉を顰めたまま、先輩を見ると。  離れて行ったまま、オレの反応を見てビクビクしてる感じの先輩。  ……なんなの、その可愛い感じ。   「――――……今……」  キスしました?  続ける前に、先輩が、かあっと赤くなった。 「……も、無理――――……ごめん」  先輩は小さくそう呟くと、カウンターに突っ伏してしまった。  は? ごめんって何。  ……つか、無理なのは、こっち。  今、キスしたんですよね。  こんな店の中で?  別にオレは良いけど、イイの?  いや、きっと、絶対、良くねーよな。  ……そんなの考えられない位  ――――……オレに、キスしたくなってくれたって、事?     キスしちまってから、ものすごくびっくりした顔のまま離れて行って、  何言われるかビクビクした感じで、  今、って言っただけで、そんな真っ赤んなって。  つか。――――…… もう、襲っても、いいかな? 「――――……陽斗さん」 「……っ今、無理」 「無理なのはこっち――――……」 「……っ……こっちって……??」  突っ伏した中から恐る恐るオレを少しだけ見てくる。 「……オレがどんだけ我慢してるか分かってます?」 「――――……っ……」  眉をひそめて、ちょっと困ってる。  ……まあ、これは分かってねーな。多分。 「オレ、キスとか触りたいの、結構我慢してるんですけど。何であんたがしちゃうんですか」 「……っだから、ごめんて……」  言いながら、視線を少し逸らした先輩に。 「謝んなくていいです」  そう言うと、また、視線が戻ってきた。 「謝んなくていいんで――――…… オレんち、行きましよう」 「……三上んち……?」  戸惑ってる、先輩。 「――――……いっぱい、キスしてあげますよ?」  色んな言葉から、それを選んで、先輩に言ってみたら。  ――――……すぐにまた、伏せてしまった。 「――――……っっっ」  ブルブル首、振ったまま、耳まで真っ赤。  キスさせて、じゃなくて、  してあげるって、言ったら、怒るかなと。  ……そんな事、思ってないって言うかなと、試してみたら。  ――――……真っ赤になるとか。  どんだけ可愛いの。  あーもー。  ――――……めちゃくちゃキスして、乱して、  体、触って――――…… オレのに、したい。  オレしか、見た事ない、この人。  もう一度、見たい。  そう言ったら。  何て言うんだろ。

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