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第172話◇ワクワク
ふ、と目が覚めた。
壁の時計はまだ5時半。まだ薄暗い。
先輩は、オレの腕の中に、ちゃんとまだ居て。
……寝返りとかあんまりしないのかな。
それともオレと寝てるから動けないのかも……と少し心配になって顔を見つめてみるけど、まあ、安らかに寝てるから、大丈夫かな、と思い直す。
――――……寝る直前まで、顔を見てて、起きてすぐまた顔を見れるとか。
幸せ過ぎて、どうしようかな、なんて、思ってしまう。
……ほんと、綺麗な顔。
寝る前も思った事をまた思う。
――――……目があくと、もっと綺麗。
瞳が綺麗なんだよな。まっすぐ見つめられると、照れる位。
まあでも――――……綺麗だから好きな訳でもないけど。
話し方も声も笑い方も、仕草も……なんか、すっとぼけてるとこすらも。
全部愛しい。
でも――――……ぱっと見、本当に綺麗な人なんだけど。
オレの目に映ってくる先輩は、段々、可愛くなってて。
ほんと。好きすぎて、可愛すぎて、ヤバいなーと自分でも思う位。
この人、恋愛すごく疎いし。まして男同士とか、戸惑ってるに違いないし。
あんまり急がないようにしてあげたい。
と思う一方で。
めちゃくちゃ迫って、考える暇もない位、近づいて、
早く、オレのものになってくれないかなと。すごく思う自分も居て。
なんか毎日、あれこれ、思う事も変わっていく。
大体、しばらく保留期間とか言って、オレに他と遊べみたいな事いっといて。……めちゃくちゃ好きそうに見て来たり。照れたり。最後はキスしてきたり。
ブレブレなのはこの人だよな。
オレ、遊ぶつもりはなかったけど、もう少し待ってあげようと思ってはいたのに。
まあそのブレブレも。
オレを好きだけど、男同士で後輩で、ほんとにいいのかみたいな、オレへの心配みたいな。そういうのも、先輩らしくて、愛しいとか。
だめだ。
もう、オレ、この人がきっと、どんな訳の分からないこと言ってきたとしても。
それを可愛いって思う思考回路を辿る気がする。
――――……だってもう。
カッコよくて綺麗な人が。
オレの前だと可愛いとか。
……すげえ、特別な位置に居る気がして。
たまんねーし。
オレ、こういう感じが好きだったのかー、と、日々、発見。
抱きたいと思っても、なんとか、我慢できるとか。
――――……自分でも、頑張ってるなと、可笑しくなってしまう。
あれこれ考えて、色んな事言って、好きだけど何で良いって言えないんだろうって、オレに聞いてきちゃうとことか。……可愛すぎる。
めちゃくちゃ可愛がって、甘やかして、優しくして、ほっとしてるとこ。
オレのとこに、絶対もってくるつもりだから。
覚悟、しといてね。
腕の中にある頬に、そっと触れる。
ぴく、と小さく動くけれど、またスヤスヤ眠る。
何しようかな。1カ月。
どこ連れてこう。何食べさせよう。
どうやったら、ずっと、笑っててくれるかな――――……。
どう手順踏んだら、迷わないで、オレのものになるのかなあ。
考えてると、ワクワクしかねーな。これ。
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