179 / 271

第179話◇これから

 2人で向かい合って、朝食。  幸せすぎ。とか思っていたら。 「三上、今日は歓迎会の打ち合わせだろ?」 「……そうですね」  オレが一気にテンション下がったので、先輩は、苦笑い。 「……とりあえず今日は、どんな感じでいくか話し合ってきますよ」 「うん。楽しみにしてるから、オレ」 「陽斗さん、パーティ好きですか?」 「んー、まあ、あの余興付きのは有っても無くても良いかなーって感じだけど。三上がやるなら楽しみ」 「……じゃあ頑張ります」  ちょっと……いや、かなり、浮上する自分に、現金すぎて呆れながら。 「明日は、陽斗さんは兄貴とだし、オレも祥太郎の店行くし。今日明日は夕飯は一緒に食べれませんね」 「そーだな……」  特にそれ以上何も言わず、先輩はパンを頬張っている。 「――――……陽斗さんって、普段夕飯どうしてるんですか?」 「誰かと食べに行く事もあるけど……一番多いのは、帰り道の一本奥の道にある定食屋さん」 「定食屋なんてあるんですか?」 「うん。和食洋食あるんだけど、味も濃すぎないし、母親の料理みたいな店だよ。野菜も小鉢とかで色々食べれるし。メニューも色々変わるから飽きないし。そこで食べて帰る事が多い」 「へえ……そうなんですね」 「三上は?」 「1人だとあんま作んないけど、コンビニとかはやなので、祥太郎んとこ行ったり、同期とかと飲みに行ったり。牛丼は好きですけど」 「あ、そうなんだ」  クスクス笑って、先輩はオレを見つめる。 「陽斗さんがうちに来てくれるなら、めっちゃうまいもの作りますよ」  そう言うと、またオレを見て、顔を綻ばせる。 「――――……じゃあ今度、作ってもらう」 「うん。良いですよ、いつにします? 明後日は? ていうか、マジでいつでも、毎日でもいいですよ?」 「――――……」  すごい勢いで約束しようとしたら、先輩にぷ、と笑われる。 「考えとくね」 「……はい」  何だか可笑しそうに笑われてしまって、乗り出し過ぎたと、ちょっと反省して苦笑い。 「……陽斗さんて、土日とかは何してるんですか?」 「んー。何。何って言われると……大したことしてないかも。割と金曜は仕事遅くまでやってたり、あとは飲みとか約束でさ。とにかく帰りが遅くなる事が多いから、土曜の午前は寝てる事が多いかも……何となく午後から友達と予定入れて出かけたり、飲みに行ったりかなあ。家で仕事してる事も結構あるし」 「陽斗さん」 「ん?」 「もし、良かったら」 「うん」 「1カ月はなるべくオレと居てくれませんか?」 「――――……」 「陽斗さんと遊びに行きたい所、いっぱいあるので」 「遊びに行きたいの? オレと?」 「はい」  頷くと、先輩は、クスクス笑う。 「そっかー、遊びにか……」  少し黙って、コーヒーを飲んでから。 「いいよ」  笑みながら、そう言って、オレを見つめる。 「何して遊ぶ?」 「色々。――――……色んな事したいから、プレゼンします」 「プレゼン?」 「行きたいとこ、選んでもらう」 「はは。何それ。……じゃあオレも、三上と行きたいとこ考えとくね」  コーヒーを飲みながら、何気なくそんな風に言ってくれるのが、すっげー嬉しいし。 「遊ぶのも良いけど……疲れたら休んでいいから」 「休むのも陽斗さんと休むから」  即答で返すと、先輩はすぐ苦笑いを浮かべる。 「――――……どんだけなの、三上」  ちょっと困ったみたいな顔で、でも、ふわ、と笑うのも、すげー好きかも。

ともだちにシェアしよう!