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第184話◇side*陽斗 3

『そっか。あのさ、今度合コンしようっつー話になって。陽斗も来る?』 「合コン?」 『っても、オレ達の中で、合コンですっていうのは何だかなーって話になってさ。バーベキューでもしようって事になったんだけど』 「そうなんだ」 『ん、皆も職場の奴とかちょっとずつ集めてさ、とりあえず楽しもうって』 「そっかー……」 『ちょうど桜も咲くだろ。来週か再来週くらいで陽斗もどう?』 「あー……週末って事だよね?」 『うん』  ――――……週末。  別にどうしても嫌って程の事じゃない。  こういうの、前にもやってたし、別に、興味がないならただ知ってる友達と楽しく過ごせばいいし。別に。そこまで、行きたくないとか、思わないけど。  週末。三上が色々言ってたのが、浮かんでくる。 「……修司、あのさ」 『うん?』 「オレ、彼女は居ないんだけど……気になる奴は居て……だから、しばらくはそういうのはやめとく」 『えっそうなの? まだ付き合ってはないって事?』 「……ちょっとまだ色々で……」 『なんだ、そうなんだ。分かった、じゃあそう言っとく』 「ん。普通の飲みなら行く」 『OK。なあ、どんな子? 気になる子』 「……どんな子。――――…………ちょっと、可愛い……かなぁ」  そう言ったら、修司が可笑しそうに笑い出した。 「何、ちょっとって。『可愛い』んじゃなくて、『ちょっと可愛い』なの?」  いや、だって。……可愛いよりは、カッコいい方が多いから。  それ言えないし。でもたまに、ちょっと可愛いんだよな……。 「うん。ちょっと……可愛い」 『ちょっとなんだな』  クックッと笑って。 『うまくいくといいな』  そう言う修司に、うん、と頷くと、じゃあまた連絡するーと言って、電話が切れた。  ふ、と何となく笑んで、スマホをテーブルに置くと。  また着信。修司が何か言い忘れたのかと思ったら、今度は三上だった。 「もしもし?」 『あ、陽斗さん? 今どこ?』 「……お前んち、だけど」 『ちゃんと居てくれてる?』  「居るよ」  くす、と笑ってしまいながら答えると。 『良かった。じゃあオレ、今皆と別れたから、ダッシュで帰るから』 「え。もう帰るの?」 『打ち合わせ終わりだから、置いて帰ってきた』 「飲んでこなくて、いいのか?」 『良いに決まってるし。すぐ帰るね』 「走ってこなくていいから」 『走る! じゃね、陽斗さん』  ぷち。  切れた。なんかすごい勢いで、嬉しそうに言いたいことだけ言って、切れた。  ――――……うん。  やっぱ、ちょっと。可愛い。  …………ちょっと、じゃないか。  すっごく。かなあ……。

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