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第二章・4
雅貴の解熱剤も効果がなく、藍は翌日も微熱が下がらなかった。
医者にかかって、頭のてっぺんから爪先までくまなく診てもらったが、熱の原因は解らない。
CTスキャンやレントゲン撮影まで駆使して、まるで人間ドックに入ったような健康診断を受けた。
「極度のストレスが原因かと思われます」
出された結果は、シンプルだった。
だが、その言葉は藍を深く納得させた。
医師は、心療内科の専門医にバトンタッチだ。
「何か強いストレスを受けることを、経験しましたか?」
「はい。まぁ」
「私にも、言えないことかな」
「すみません。今は、ちょっと」
医師にも、言う気になれない。
ただ、小出しにはしておいた。
「僕、第二性がΩです。それで、学校でいじめに遭ってました」
「そうだったの」
不安を軽くする薬と、夜にぐっすり眠れる薬を処方してもらい、その日の診断は終わった。
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