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第二章・5
「お疲れさまでした」
「渡辺さん」
彼は、お茶の準備を整え、藍を待っていてくれた。
「平さんは、お仕事ですか」
「はい。夕刻にはお帰りです」
雅貴の姿が、藍の脳裏に浮かんだ。
どうしてだろう。
早く会いたい。
そして、診察の結果をお知らせしたい。
しかし、渡辺に先を越された。
「白沢さまのカルテと診断結果は、雅貴さまにすでに送ってあります」
「あ、そうなんですね」
今はデジタルデータで、何でもどこにでも送れる時代だ。
それでも、仕事の合間を縫って自分のことを気にかけてくれる雅貴を想像し、藍は心を温めた。
(平さん、何て言うかな。心配してくれるのかな)
「雅貴さまは、白沢さまのことをご心配なさっておられます」
再び、渡辺に先を越された。
「このように、人を思う気持ちを持たれたことは、お久しぶりです」
渡辺は、嬉しそうだ。
その笑顔に、藍も嬉しくなった。
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