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第六章・2

 医師には、お屋敷で穏やかな日々を送るように勧められ、雅貴もそれに同意した。 「ここはもう、藍くんの家だから。安心してずっと暮らすといい」 「ありがとうございます」  それから、前回より少し強い薬を多く処方された。 「体に合わないようだったら、すぐに言ってね。対処するからね」 「はい」  それから。 「それから、君はΩだけど発情期はまだ迎えていない、と言ったね」 「え? あ、はい」 「それも、苦にすることはないから。時が来たら、自然に体に起きる現象だからね」 「はい……」  この時だけ、藍は医師に不満を覚えた。 (何も、雅貴さんの前で言わなくてもいいのに)  僕は、どうしようもないお子様。  そんな風にとらえられることが、藍は悲しかった。  ただ、雅貴はそんな藍の気持ちを察したように、薬を待つ間に優しい言葉をかけてくれた。

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