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第七章・7

「雅貴さん、あの。怒ってませんか? 昨夜のこと」 「怒るだなんて、とんでもない」  むしろ、心配だ。  そう、雅貴は告げた。 「君の傷ついた心と体を、私がさらに痛めつけてはしないか、と」  良かった。  雅貴さんは、怒ってなんかいなかった! 「僕、初めてでした。あんなの」  優しく抱いてもらえて、嬉しかった。 「私は、君の役に立てたんだろうか」 「……はい。すごく、嬉しかったです」  では、と雅貴は藍の掛布をそっと剥いだ。 「シャワーを浴びて、朝食を摂るんだ。その後、庭園を散策しよう」 「はい!」  バスルームで、藍は体をきれいに流した。  姿見にその身を映すと、胸にはやはりうっすらと傷跡が見える。  でも、もう大丈夫。 「雅貴さんが、この傷をふさいでくれた」  藍は、両腕で自分を抱きしめた。 「どうしよう。僕、雅貴さんのこと」  愛しちゃったかもしれない。  それは、明るい中にも甘美な響きで藍の全身を駆け巡った。

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