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第八章・2
(妹尾さん、って。もしかして、恋人さん?)
昨晩は、雅貴に優しく抱いてもらえた藍だったが、それで自分が彼の特別な存在になった、とは思ってはいなかった。
おそらく雅貴は、自分が可愛そうだから情けを掛けただけ、と思っていた。
(僕があんまり取り乱してたから、なだめてくれたんだよね)
それでもいい、と感じていた。
あのきらめく熱い想いが、思い出が残るなら、それでも構わない、と考えていた。
だが、妹尾の存在を知り、心が乱れた。
僕以外の、雅貴さんと一緒にお食事をする人。
(いや、御飯くらい誰でも一緒に食べるし!)
考え込んでしまった藍に、雅貴は声をかけた。
「少し、電話をかけてくる。その後、テラスでお茶にしよう」
「あ、はい」
渡辺も、お茶の準備に取り掛かると言ってその場を離れてしまった。
一人になった藍は、自分に問い直してみた。
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