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第八章・4

 実莉の存在は、雅貴も気になった。 (明らかにこれは、将来を見越してのお誘い、だろうからな)  牧田(まきた)夫人を介して、出会った二人だ。  仲人になることが趣味の彼女が引き合わせたとなると、実莉に雅貴との結婚を希望する心があることは、明らかだ。  ただ、彼の家柄を考えると、むげにはできない。  お断りをするにしても、何度か会っておかないと角が立つ。  はぁ、と雅貴はため息をついた。 (私はもう、恋なんてこりごりなのに)  いや、待てよ。 (家同士を結び付けると考えれば、そこに無理やり恋を挟む必要はないじゃないか)  現に、恋も愛もなしに、ただ相手の家柄だけで結婚する事例はいくつもある。 「しかし……」  そこまで考えたところで、ふいに藍から声が掛けられた。

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