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第九章・2
『白沢くんの趣味はなに? 僕はアンティークの収集だけど』
『白沢くん、この加茂茄子の含め煮、とっても美味しいよ』
『白沢くんは、何か楽器を弾く?』
食事をしながら、実莉は藍のことを根掘り葉掘り訊ねて来た。
それに付け加えて、雅貴に話を伺う、といった風だ。
場の中心になり、盛り上げる。
そんな社交性を、彼は持っていた。
良く言えば、だが。
(さっきから、藍くんのことばかり気にかけている)
雅貴は、そんな実莉の胸の内を、こう読んでいた。
(将を射んとする者はまず馬を射よ、か)
藍くんを手懐け、私への布石に使うつもりでいるに違いない。
すでに熟練の大人である雅貴には、実莉の本心が筒抜けだった。
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