69 / 111
第九章・7
しおれてしまった藍に、雅貴は優しく声をかけた。
「18歳は、もう立派な大人だ」
「雅貴さん、いつ僕の歳を?」
「医師のカルテで、解った」
いけないんだ、と藍は雅貴を横目で見た。
「僕、この前シャンパン飲んじゃいましたけど?」
「あの屋敷では、私が法律さ」
そこへ、ブルーマウンテンが運ばれてきた。
いい香りだ。
雅貴は嬉しそうに、ウエイターに声をかけた。
「これは、本物のブルーマウンテンだな?」
「マスターの意向です」
まさか、郊外の喫茶店で、正規のブルマンが飲めるとは。
「おいしいです!」
「マスターに、ありがとうと伝えて欲しい」
ウエイターが去った後、少しくだけた空気に藍は思い切って雅貴に尋ねてみた。
ともだちにシェアしよう!