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第十章・3

 やがて雅貴と佑佳は、深い仲になった。  身も心も結ばれ、雅貴は真剣に結婚を考えるようになっていた。 『佑佳、私と結婚してくれないか』 『家柄が、違います。きっと周囲に、反対されます』 『周囲より、君の気持ちが知りたい。結婚してくれるね』 『雅貴さん、嬉しい……』  雅貴は、そっと佑佳に婚約指輪を贈った。  佑佳の家の資産では考えられない、高価な品だった。   『周囲が何と言おうと、私は君と結婚したい』 『でしたら、一つ大きな問題が』  佑佳が話した問題とは、彼の病気のことだった。

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