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第十章・4
佑佳は、数年後には失明してしまう難病に侵されている、というのだ。
その美しい目から涙をこぼしながら、佑佳は訴えた。
『失明すれば、きっと雅貴さんに負担を掛けます。私には、それが耐えられない』
『治す方法は、ないのかい?』
『海外に、名医がいて。彼は私と同じ病気を手術で何度も治している、と言います』
『解った。その医者に、頼もう』
雅貴は、問題を子安に相談した。
すると彼は、その医者を調べてみる、と言ってくれた。
『手術や治療に、どのくらいの日数や費用が掛かるか、概算してみよう』
『ありがとう、子安』
『大友さん、病気だったんだな。打ち明けてもらえて、よかったな』
『うん。彼の目が治ったら、式を挙げようと思っている』
『応援するよ』
雅貴は子安の手を取り、その友情に感謝した。
ほどなくして彼は、佑佳の目にかかる費用の見積もりを出してくれた。
それは、決して安くはない額だった。
だが、雅貴はその高額の金を医者の口座に送った。
佑佳の目が治るなら、安いものだと思っていた。
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