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第十一章・5

「はぁ、はぁ、あぁ。ふぅ、ひぅ、うぅ……」 「藍、水を飲むかい?」 「もう少し、このままでいてください……」  雅貴さんと、離れたくない。  このまま、こうして抱き合っていたい。  胸に頭を押し付けてくる藍の気持ちは、雅貴に痛いほど伝わって来た。 「だが、そろそろ離れないと。体に疲れが残るぞ」 「んぅ……」  雅貴は、そっと優しく藍から引き抜いた。  その代わり、もう一度キスをしてやった。 「雅貴さん」 「愛してるよ、藍」 「雅貴さん……!」  ぎゅうと全身で抱きしめてくる藍が、可愛い。 「どうしようか。私はもう、君から離れられなくなったみたいだ」 「僕も。僕も、もう雅貴さんから。雅貴さん……」  藍の目からこぼれる涙は、どこまでも清い。  そんな涙を指で拭ってやり、雅貴はゆっくり起き上がった。 「一緒に、シャワーを浴びよう。このままでは、眠れない」 「あ、ごめんなさい」  足元のふらつく藍を抱え上げ、雅貴はシャワールームへ向かった。  

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