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第十三章・7
晩餐会の席で、藍は雅貴に婚約者だ、と紹介された。
人々はざわめき、拍手をし、口々に彼を褒め称えた。
あの素敵な庭園を、考案した人物なのだ。
藍は質問攻めにあった。
「どちらの白沢さまかしら。シラサワグループ?」
「どのような経緯で、平さまとお知り合いに?」
「学校は、どちらを出ておいででしょうか?」
それらに、一言も答えることができない藍だ。
青くなって下を向いていると、傍に雅貴が立った。
「皆様に一つだけ。藍は、何の背景もない孤児です」
(雅貴さん)
「ですが、彼は私を、長年さまよっていた暗い淵から引き揚げてくれました」
それだけで、皆さんの御心には、彼がどのように素晴らしいかお分かりでしょう。
雅貴の言葉には、反論できない響きがあった。
彼を暗い淵に突き落としたのは、他でもないこの社交界なのだ。
だからこそ、雅貴は社交界の外に救いを見出した。
そのように、客人は解釈した。
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