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第十四章・5

「藍、私の子を、産んでくれるかい?」 「赤ちゃん……?」 「Ωは発情すると、妊娠できるようになる」  あ、そうなんだ。  お月様のおかげで、僕、雅貴さんの……。 「僕、赤ちゃん欲しいです」 「ありがとう」  雅貴は、改めて藍に口づけた。 「そうなると、俄然やる気が出て来たな!」 「今夜はもうダメです!」 「そうじゃなくて。仕事や、その他いろいろ……」 「あ……」  真っ赤になってしまった藍を、雅貴は優しく抱きしめた。 「愛してるよ、藍」 「雅貴さん、愛してます」  まだ婚約の身だが、蜜月を迎えたように甘い夜だった。

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