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第3話
朝から何をしてるんだか。
急に頭が冷えた。
夏樹は潤んだ瞳を細めて笑っていた。頭を撫でられるのが好きだからか、もっとして欲しそうに擦り付いてくる。
今日はバイトも入っていない。予定も特に無い。どんぐり粉で料理するくらいだ。コンロの火を落として、そのままにしておく。
そういえば、母から国際郵便が届いていた。あれを開けるか。夏樹宛のものも入ってるはずだ。
宅配ボックスからダンボール箱を引っ張り出してリビングに戻る。夏樹はイスに座っていた。
「何か来たのか?」
「母からです。どうせお前宛のもあるはずですから。部屋に行きましょう」
「あーい」
夏樹を連れて自室に入る。
箱を開けば、一番上に手紙が入っていた。
「あり? 服じゃねぇな」
「違いますね」
手紙を開く。
『ラブグッズを送るから、仲良く使ってね』とだけ書かれていた。
ラブグッズって何だ?
ダンボール箱の中には、箱が入っている。一個ずつ取り出す度に、夏樹が苦笑いを浮かべた。
「いやぁ、相変わらずだなぁ。おまえの母ちゃん」
「ラブグッズらしいですよ」
「使ってみっか?」
「今ですか?」
「あー、言ってみただけだから、小焼がしたい時に」
「では、今で」
と返せば、夏樹は目をまん丸にした。
そんなに驚くようなことを言ったか? 考えてみるが、何も思い当たらない。
夏樹がしたそうにしていたから言ってみたんだが……一回出したから落ち着いたのか?
「え、えっと、そんじゃ、これにするか?」
「何ですかこれ」
「ローター。ほら、震えるやつだ。巴乃メイちゃんってオモチャ使わねぇの?」
「きゅうりなら挿入されてましたよ」
「あ、そっち系なんだな。これならマッサージとしても良いだろ」
夏樹がくっついてくる。
唇を重ねて、舌を絡める。ちゅっ、ちゅっ、朝から何をしているんだろうか。頭がぼうっとして心地良い。
服の中に手が入り、胸に伸びてくる。乳首を捏ねられるだけで、甘い吐息がこぼれる。
乳首が敏感になってしまったのは治らないのか。
「ぁっ、あ……! な、つき……!」
「ん。これ、使ってみような」
ローターが乳首に当たる。
一瞬頭が真っ白になって、変な多幸感に包まれた。ズボンが濃く変色する。少し撫でられただけで、イッてしまった。
「なつき! や、やだ! ァッ! ああっ!」
「おっ? 乳首だけでイッちまったか?」
「ばか! ばかぁ!」
「わりぃ。わりぃ。おれが触りすぎたからだな」
と言ってから夏樹は胸に擦りつく。乳首を唇に挟んで、舌先で舐ってくる度に、快感に痺れる。
女でもないのに乳でこんなに感じるなんて、気恥ずかしい。唇を噛み締めても声が出てしまう。自分のものとは思えない甘い吐息にクラクラする。
夏樹が顔を上げる。いつの間にか彼は首輪をつけていた。ネームプレートのついた彼専用の首輪だ。
「ローター以外にバイブもディルドもあんぞ。すっげぇ巨根だな……。これなら、おれのより奥に届くだろうけど、使ってみるか?」
「『待て』」
「わかった。『待て』だな。ってか、準備してないんだから、入れらんねぇよな。あはは」
腹の奥が疼いている。夏樹が欲しい。
だが、準備をしていない。汚れるのは嫌だ。夏樹は医者だから、感染症にも詳しいし、リスクもわかっている。だから、無理強いをすることは無い。
彼の下半身に目を向ける。ズボンがテント状になっていた。
「夏樹の宝剣が抜けそうですよ」
「レーヴァテインが!」
「エクスカリバーじゃなくなったんですか」
「おまえが前にアーサー王がうんたらかんたら言ったからだろ!」
レーヴァテインは北欧神話の武器だったはずだ。
今度は北欧文化史の講義で夏樹のコレを思い出さないといけないのか……。
本日はレーヴァテインらしい夏樹の自身をズボン越しに撫でる。潤んだ大きな瞳が可愛らしくて、食べたくなる。眼球舐めは禁止されているから舐めてはいけないし、たいして美味くもないから、昆布のニシン巻きのようなものだ。見た目は良いが、味は期待ほどではない。
繰り返しキスをしながら、ズボンをずらしてやる。勢いよくレーヴァテインが飛び出してきた。
いつも思うが、夏樹は顔に似合わず、ちんこがけっこう立派だ。背が低い割には……なかなかだ。巨根ではないが、細長くて……犬の性器はこんなんではなかったか? 図鑑で見たような気がする。
夏樹は期待に目を潤ませているので、そのまま下腹部をゆるゆる扱いてやる。すぐに先走りが手にまとわりついてきた。
「あ、小焼ぇ、きもちぃ!」
「これ、使いましょうか」
洗濯バサミのようなものを夏樹の両乳首に挟む。既に興奮状態だが、更に喜んでいそうだ。
よくわからないままスイッチを押す。
ブブブブ……、振動が伝わっていく。
「あ、ァッ! ひ、ぁっ! ン! ぁー、きもち、い!」
「気持ち良いなら、良かったです」
乳首を振動で刺激しつつ、ちんこを扱いてやる。まとわりついた先走り液で滑りが良くなってきた。
玉が上がってきている。もうイクのか?
勝手にイカないようにしないと。玉と棹の真ん中辺りを押さえてやる。夏樹は首を振った。
「ひっ、小焼ぇ! イキたい! 出したいぃ!」
「まだ駄目です」
「アッ、いた、ぁっアンッ! はー……あ、……あ、あ きもちぃ、イキたいぃ、イカせてぇ」
「まだ『待て』」
「ふー……ふー……待つ、待つ、からァッ! ぃ、あ……はぁ……んっ!」
夏樹はベッドに寝転ぶ。私は覆い被さるように乗った。互いの性器を擦り合わせながらくちづけを何度も交わす。舌を絡め、唾液を飲み、舌を撫で、舌先を食み、心地良い。妙な浮遊感と共に、行為に没頭していた。
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