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第20話
小焼と文化祭デートできて嬉しい! しかも、漫研の子におれを「パートナー」って紹介してくれてたし、なんだかハッピーだ!
ど迫力の爆音と共に舞台の幕があがる。隣にいる小焼は眉間に皺を寄せていた。そうだ、こいつ、爆音が苦手だった!
「わりぃ小焼。出るか?」
「いえ……。気にしないでください。見たいんですよね?」
「そりゃ見たいけど……。おまえ、苦手だろ?」
「……耳栓します」
試合で集中する時に使うやつを持ち歩いてたらしい。小焼は耳栓をしてボーっと正面を見る。
おれも正面を向く。スモークがもくもくして、ヒーローがバーンと出てきた! 怪人もわさわさ出てくる。すごい楽しい!
ヒーローが怪人を倒したところで、再び爆音。雷の音だ。ヒュッ、と喉が鳴る音がした。
「小焼、大丈夫か!?」
小焼は昔から雷に弱い。両親が海外にいる頃は、雷鳴がする度におれん家に来ていた。それくらい苦手らしい。
講堂は暗いからわかりづらいけど、小焼は少し青ざめている気がする。手だって震えてるし。
「ゆっくり息吐いてー吐いてー吸ってー、吐いてー吐いてー吸ってー」
おれが思う以上にダメージが入ってんのかも。
こりゃ、保健室で休ませてもらったほうが良いかな……。
小焼の手を引いて、講堂を出る。ふらふらしてるから、やっぱり休ませたい。
元々、人の多い場所が苦手な小焼だ。こんなに大勢の人から話しかけられる場所はストレス度が高いと思う。
校内案内を読んでどうにか保健室に連れてきた。きちんと養護教諭がいて良かったや。事情を説明して、ベッドに寝かせてもらえた。
「すみません……」
「良いって良いって。久しぶりに弱い小焼を見れたからさ!」
「何言ってんですか」
耳栓したままだと思うけど、普通に会話ができる。あんまり意味ねぇのかな? 気持ちの問題?
それにしても保健室かぁ。この前行ったラブホも保健室だったなぁ。全くシチュエーションを活かせてなかったけど!
「夏樹」
「ん? どした?」
「……キス、したい」
「お? おう」
よくわかんないが、キスぐらいなら大丈夫か。カーテンあるから見えないし。
唇を重ねたと同時に後ろ頭を掴まれて逃げられなくなった。驚いて開いた口に舌が挿される。
「んっ、んんっ……! んっ、んぅ」
「はらへった……」
つまりムラムラしてるってことか。
腹が減ったらえっちなことをしたくなる小焼だ。何か食わせてやんねぇと!
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