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第25話

 全裸でベッドに入り、ゴロゴロ転がって遊んでいる夏樹を組み敷いてみた。  元から大きな目をもっと大きく見開く。それからへにゃっと破顔した。いつもの人懐こい笑みだ。誰が見ても「カワイイ」と言いそうな顔をしている。本人は「カワイイ」より「カッコイイ」に憧れているようなんだが、容姿だけで言うなら無理だと思う。 「小焼のベッドっていつもふかふかだよな」 「お前のベッドが煎餅なだけですよ」 「そんなことねぇよ! おれのベッドはもこもこって感じだ!」 「そうですね……」 「おまえ、何も考えずに返事したろ」 「しましたよ」 「まっ、それでこそおまえらしいけどな!」  するっと抜けた腕が首に絡んでくる。唇が重なる。キスばかりしている気がする。嫌いじゃないから良いが、どれだけキスが好きなんだろうか。あと、胸を弄るのが好きだってことはよくわかってる。首に絡んだ腕が外れて行きつく先は決まっている。 「男の胸を揉んで楽しいんですか?」 「だって、小焼の胸やわらかいし」 「はあ?」 「そのうち母乳でも出ねぇかな」 「母にはなれませんよ」 「男でも乳腺はあるんだぞ。おっぱいが大きくなってきたら癌の疑いを持った方が――、ちょっと気になるから今チェックして良いか!?」 「急に真面目にならないでください」  まあ、健康診断を無料でできるのは良いが。  夏樹は急に真面目な顔になったので、私は夏樹から下りて、寝転がる。彼は横に正座した。どうして正座なのかは気にしないでおこう。 「そんじゃ、おっぱい触っていくぞ」 「どうぞ」  なんだかよくわからないが、手つきが真面目なので、これはこれでくすぐったくて物足りなくなってしまう。  真面目な顔をしたまま胸を鷲掴みにされるのは少しつらい。刺激を求めて尖ってしまっている乳首を見られるのも妙な羞恥心を感じる。そんな私の気持ちを夏樹がわかっているのかわかっていないか、どっちでも良いんだが、本当に真面目に診察するようなので、何も言えない謎の沈黙の時間が続く。 「っ、ぅ」 「これ、痛いか?」 「痛いまではいかないですが、変な、感じがします」 「そっか。変な感じだな。痛かったら教えてくれな」  いつまでこのままなんだ。セックスしたいって言いだした本人が診察を始めてしまっては、何も先に進まない。  風呂場で一回抜いたから満足したってわけでもないはずだ。……なんだか、これだと私の方が彼を求めてしまっているようで嫌だな。負けた気がする。 「夏樹。いつまでこれ続けるんですか?」 「だって、小焼にはいつまでも健康でいてほしいからさ!」 「お前は医者なんですから、私の体調管理もできるでしょうが」 「そりゃできっけど、おまえさ、おれの言うこと聞くか?」 「約束はできかねますね」 「だろ? 本当に病気なら、医者の言うことは聞いたほうが良いけどな!」  と、笑いながら乳首を摘まんできたので、思わず腰が跳ねた。急に何してくるんだこいつ。 「これ、は、診察と関係は?」 「あるっちゃある。乳腺が発達してんなら、本当に乳汁出んじゃねぇかなって思ったし。あ、声我慢しなくて良いからな」 「アッ! ばか!」 「バカだぞ! おまえのことが大好きなバカだ! ホルモンバランスが狂っておっぱいがおっきくなったんじゃなくて、鍛えた筋肉が成長して、その上に脂肪が乗っかっておっきくなっただけだから、安心だ。えへへ、触り心地が最高!」 「は、ぁ……」 「というわけで、セックスしよう!」  どういうわけなんだ。  むしゃくしゃしたので、夏樹の乳首を摘まんでやった。「ぴゃんっ」と訳のわからない声を出して喘ぐので、少し面白い。弄れば弄るほどに素直に喘ぐので、女がこれ聞いたらドン引きしそうだなと思う。 「あっ! ア、小焼っ、それ、きもちいっ!」 「夏樹って、乳首開発されてるわりに綺麗なピンク色してますよね……」 「ふゆがな、漫画のネタに買ったせっけんくれたんだ! 乳首の色が良くなるやつ」 「妹に乳首ピンクにされてんですか」  言葉だけ聞いたら禁断の関係のように思うが、漫画のネタに買ったせっけんか……。夏樹のことだから「すっげぇ綺麗なピンクになった!」とか言いながら妹に見せたんだと思う。  それはそれで、大丈夫か? 「小焼は――……、元からその色だよな?」 「そうですね。私は元々こういう色です。母なんて真っ黒かもしれませんよ。セフレもいますし」 「ちょっと気になってきた。後でアダルトサイト見ようぜ!」 「何で私がお前と一緒にアダルトサイト見なきゃいけないんですか」 「気にならねぇの!? 肌の色で乳首が何色になんのか!」 「少なくとも、私程度の肌色ならこうなりますよ」 「えへへ。そうだなぁ。国際的だなぁ。ぴやっ! 急にちんこ掴むなよ!」 「話してるのにこっちは勃ってるんですね」  夏樹のご自慢のエクスカリバーを軽く握って扱いてやる。気持ちよさそうに目を細めて甘い声を出しているので、これで良いようだ。力加減がいまいちわからないから、パイズリのほうがやりやすいかもしれない。夏樹が勝手に擦りつけてくるから。  キスをしながらちんこを擦り付けあう。兜合わせと言うらしい。夏樹が前にそう言ってたような気がする。ローションを間に垂らしたからか、肌が擦れる度に快感が全身を駆け巡っていく。 「なつ、き。なつき」 「ん。おれも、イキそ。いっしょに、イこ」  乳首を抓られて、目の前に星が散る。腹に精液が散る。どっちがどっちの精液だかわからないくらい混ざり合っている。わかったところで何も得しないか。  あれだけ洗っておいて全然触れられないからか、尻がひくついている。だからって、自分から誘うのも負けたような気分になるから嫌だ。私の胸に頬擦りをしてニコニコしているので、耳を引っ張ってやった。 「いだだだっ! 急に何すんだよ!」 「また胸に夢中になってるからですよ」 「だって、小焼のおっぱいふかふかで最高だからさ。……あ、もしかして、入れてねぇからご不満か?」 「その言い方はむかつく」 「わりぃわりぃ」  腹の上の精液をティッシュで拭き取ってから私はうつ伏せになる。顔を見られたくない。あと、胸ばかり触ろうとするから嫌だ。  ……後ろからのほうが、良くなってしまうのは、この際我慢しよう。

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