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俺がしてやる
そりゃあ、相手がいなくても。欲は時々起こるわけで。その処理は必要なわけで。その程度には自分でする時もあった。
特に、須藤と出会ってからは、その頻度がきもち上がったことは身の危険を感じたので須藤には黙っておくことにする。
「いいじゃん、そんなこと」
「……なんか……想像したら興奮してきた」
「……何言ってんの?」
須藤がこちらに近付いてきた。慎弥の中で危険信号が走ったので、思わず後ろに下がる。
「ちょっ、なに??」
「なにって。開発する必要ないんだよな? だったら、普通にヤったらいいじゃん」
「いや、だから、今すぐしなくても……ちょっ……」
じりじりと後ずさりしていたが、壁際まで追い詰められて逃げ場がなくなった。須藤が首筋に顔を埋めてくる。舌でべろっと舐められて体がぴくりと反応した。
「あっ……ちょ、須藤っ、まだ準備もしてないしっ……」
「そんなのいいから」
須藤が顔を上げた。至近距離で目が合う。
「俺がしてやる」
この男は普段はあんなに奥手なくせに、こういう時だけなんで無駄な男前感出してくるんだろう。
そう思いながら、慎弥はついに抵抗を諦めた。
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